「ワイルド&エレガント。一度乗ったら下りられない!?」

憧れのヘリテージカー。実際購入するにあたり、選び方や知っておきたいことを、専門家に指南してもらう新企画。それぞれのクルマの歴史や他にはない特徴などにもお答え。一緒に、玄人が唸る希少なクルマも教えてもらいました。

14回目の今回は、英国車専門のBRITISH LABELさん。近年のSUV人気の火付け役とも言えるレンジローバーの、英国貴族の流れを汲むヘリテージの魅力をお聞きします。



まず最初に、BRITISH LABELさんはどのような車を扱っているのでしょうか?

今野氏(以下K)「メインはイギリスのランドローバーとジャガー。基本的に英国車の代表格となるお車で、ランドローバーは元々SUV専門の、4WDの専門メーカーになります。代々英国王室御用達の歴史があり、高級車という立ち位置にはなりますが、実際は一般の方にも幅広く楽しんでもらえる車になっています」

ランドローバーは、どのような方々が好まれるメーカーでしょうか?

K「4WDのSUVというと、悪路走破などの実用的な色合いが強かったカテゴリーだったのですが、英国の富裕層に受け入れられる事でラグジュアリーなクロスカントリー4WDというカテゴリーという地位を確立していきました。今のSUVといえば、だいぶん都心の街並みに合った、ファッション志向の高いクルマが多いですが、このスタイルを確立したのがランドローバーですね」

ジャガーはどうでしょうか?

K「そうですね、ジャガーも英国車の代表格で高級車という立ち位置にはなるんですけれど、やはり王道のベンツやBMWとは一味違うものを求めている方が多いですね。家具や、道具一つとっても流行のデザイン…ではなく、100年200年使える、長く使えば使うほどに味が出てくるようなもの。そういった車を取り扱いたいという想いからランドローバーとジャガーを選んでいます。比較的普段使いがしやすい車ですね。このAutomobileCoucilにも魅力的な車はたくさんありますが、その中でも毎日の通勤にもお使いいただける利便性を大切にしています」

なるほど…それでは今回展示している中で一番ビギナーの方々にオススメできるクルマはどちらになりますか?

K「そうですね、この中でというとこれですね、LAND ROVER Range Rover 4.6 HSE。レンジローバーのセカンドモデルになります」

この車の魅力的なポイントを教えてください。

K「このデザインはSUVの黄金比率といいますか、SUVというカテゴリーの最もベーシックなデザインなんですけれども、ベーシックならではの良さがあります。都心でも山でも、海を走っても似合う。ジーンズでもチノパンでも、スラックスでも似合う。シチュエーションを選ばないのがこのデザインの奥深い所だと思います。生い立ちが英国貴族の流れを汲んでいますので、馬に乗った時のポジショニングが基準となっていて、目線が高いんです。そのおかげで視認性がよく、非常に運転もしやすいんですよ」

この内装も上品で、おしゃれですね!

K「そうですよね。まるで家具調のようで、この内装の質感はイギリス車独特だと思います。何十年も使いこなせるような質感といいましょうか。皮質とか、使っていくと味が出てくるんですよ。機能的には古すぎないのでトラブルは非常に少ない傍ら、デザインは何十年も変わらない黄金比率のデザインで成り立っているので、気軽にヘリテージカーを楽しむのに、持ってこいの一台だと思います」

維持するというハードルは、そんなに高くないのでしょうか?

K「維持していくコツというのはどこのショップも同じでしょうけど、やはりショップと一緒にマメにメンテナスでお付き合いしていくということが一番の秘訣だと思いますよ。モノである以上、使えば使うほどに壊れたり、トラブルというのはどうしても起こり得ますから。その車に合ったノウハウをしっかりわかっているお店に行って、ショップの方と良いお付き合いをして頂く。特に、私たちの車は骨董品の様に飾るのではなく、毎日使って頂きたいので、こまめなメンテナンスは末長く維持するためのポイントになってくると思います」

それでは次にツウな車好きも唸らせる、玄人好みの一台を教えてください。

K「玄人受けですと…こちらのLAND ROVER DEFENDER 110でしょうか。見ての通り非常に武骨で、ベースは軍用車となっています。未だに救急車や、軍事用車両として利用されているみたいですね。例えば消防車や、はしご車を作りたいとか、機関銃を積みたいとか、とにかく幅広い目的に合わせて様々なカスタマイズができるのがディフェンダーという車なんです。私たちは、お客様がどのようにカスタマイズしたいか、どのように乗りたいかというのをヒヤリングしてそれに合わせてカスタマイズして作り上げていくディフェンダーならではのスタイルも持っているんです」

K「これは67年間もの間、基本のベースを変えずに作り続けている車です。これほど長く、基本のスタイルを変えずに作り続けているのはポルシェ911とディフェンダーくらいしかないです。残念ながら2015年で生産は終了してしまったのですが、既にイギリスでは国民が絶対に残していきたい車の中の1台、そういう立ち位置になっています。イギリス国内ではディフェンダーの専門誌が3つもあるくらいなんですよ!」

外装デザインでの魅力はいかがでしょうか?

K「とにかくこの無骨なスタイルですよね。打ち込んであるリベットが剥き出しな所なんかも、非常に男心をくすぐられますよね。そもそも軍事目的に作られた車が乗用にとして67年間変わらず作り続けられたヒストリーもグッとくるポイントの一つですね。外装で言うと、これだけ純正で車高の高い車は少ないんですね。世の中の車の中でエンジンの位置もすごく高い位置についています。イギリスの道なき道を行くために、車高を上げて、エンジンのポジションを高くして、シャーシをすごく丈夫にしています。丈夫にした分重くなったシャーシをオールアルミ製にする事で、ボディを軽く作っているんですよ」

では、クラシックカー・ヘリテージカーは機能的なところで現行の車に劣ってしまうところは少なくないと思うんですけれども、それでも選ばれるヘリテージカーの魅力はどういった点にあると思いますか?

K「やはり一番は、そのメーカーその車ごとの歴史を感じられるところですよね。ランドローバーは第二次世界大戦後に作られたメーカーなんですが、戦後の流れと共に作り上げられていった歴史など、ヘリテージさを感じられるのがポイントだと思います。ただ今の時代に、エアコンのないような本物のクラシックカーを日ごろから乗るのはやはり難しいですから、そういった利便的なところは全て補っています。見た目は古くてヘリテージさを感じれるけれども、機能的な面はとても現代的という、良いところ取りで今風に仕上がってる。比較的新しいランドローバーはヘリテージカーを手軽に楽しむのに、とても魅力的なチョイスだと思います」

最後に、このAutomobile Councilというイベントへの想いをお聞かせください。

K「とにかく、こういった貴重なイベントを通してヘリテージカーの魅力が若い方達に浸透していって欲しいという思いがありますね。ヘリテージカーというのは、若い方達からしてみればある意味新型車と変わらない位のインパクトがあると思うんです。日本は資本主義国家ですし、物を作り続けないといけない訳ですけれど、だからこそこうやって作った物を大事にして、古いものをずっと使い続ける良さも若い方達に伝えていければなと思います」

Photograph:Taku Amano
Edit & interview::Tuna
Text:Chihiro Watanabe