「お菓子作りとは別に、愛車と向き合う時間を作ることは大切なこと」

日本で初の焼き菓子専門店として、丁寧に焼いたクッキーやマドレーヌなどのプティフールを提供。テイクアウト専門フランス伝統菓子を踏襲する『メゾン・ド・プティ・フール』のシェフ&オーナーの西野さん。愛車はアルファロメオ ジュリア。車への愛からライフスタイルについて伺ってきました。

アルファロメオが1954年に発表するや大成功をおさめ、アルファロメオのメーカーとしての基盤を固めたジュリエッタ。63年にニューモデルであるジュリアが登場すると、ジュリエッタの一部モデルもジュリアと改名され、新しい1.6リッター・エンジンを与えられて、65年まで継続生産された。

「そのジュリア・スパイダーのコクピットに収まると、シフトレバーの後ろに置かれた灰皿や、パセンジャー前のダッシュボード下端に備えられたルームランプの、美しく華奢な造形に親しみを感じる」と話されるのは、このアイボリーホワイトの美しいジュリア・スパイダーのオーナーである西野之朗さん。さらにはアンブレラ式のハンドブレーキ・レバーや、ヒーター・コントロール・レバーの作りも気に入っているポイントとか。旧いクルマの車内で、手作り感満載な小さなパーツの作りに目を留める、その繊細な感覚は、西野さんのお仕事が関係しているのかもしれない。

現在、東京は大田区で、『メゾン・ド・プティ・フール』というフランス菓子の工房のオーナー・シェフを勤める西野さん。高校生だったときに、お母様が使われていたレシピ本を見て作ってみたチーズケーキが、お菓子作りに興味を持った発端だそう。卒業後、大手菓子メーカーに就職し、数年後に世田谷の有名なケーキ店オーボンヴュータンに転職し、お店の立ち上げに協力。さらには渡仏して修行を積んだのち、35年ほど前に現在の工房を立ち上げ、現在は3店舗を展開して大成功を収めている。フランス菓子一辺倒で努力をしてきたが、最近ではそれをベースに方向性を広げ、老若男女に喜んでもらえる美味しいお菓子を提供している。

ジュリアの車内で気に入っていらっしゃるところは?

西野さん(以下N)「アンブレラ式のハンドブレーキ・レバーや、ヒーター・コントロール・レバーの作りも気に入っています」

外観ではどのようなところがお好きですか?

N「特に後方から見た姿が好きですね。それに、例えばリアフード後端に設えられた、アルファロメオのロゴマークが入った小さなオープナーなんかもいいですね」

ヘリテージかー歴はどのくらいですか?

N「きっかけは、既にヘリテージカー遊びにハマっていた、数人のシェフ仲間に教えられて、面白そうだなと。初めはそんなに凄いクルマは無理だなと思い、とっかかり易くて値段的にも手が届いたトライアンフTR4Aを購入しました。まだ3年前のことです」

トラブルなどは問題無かったですか?

N「旧車お決まりのキャブの不調や、エアフィルターが燃える(!)などなどのトラブルにも見舞われましたが、ヘリテージカーとは何たるかを勉強する“練習車”と割り切って楽しみました。ちなみに、トラヨンもまだきちんと所有しています」

その後、どのようにしてジュリア・スパイダーに?

N「ジュリエッタ・スプリントが欲しくなり、探したところ、広島のワールド・ヴィンテージ・カーズにオリジナル性が高い個体があるのを発見しました。早速現地まで赴いて実車を見てから購入。その際に白いジュリア・スパイダーも並んでいたのを眼にして、1か月後にそちらも購入してしまったんです」

一度にアルファロメオを2台とはすごいですね。

N「実は、まもなくもう1台の小さなイタリア車が納車されるので、ヘリテージカーは合計で4台になります」

旧車歴が始まって僅か3年で早くも4台の旧車持ちとは、すごい遍歴ですね? 英車のトライアンフに始まり、イタリア車3台が加わりますが、イタリア車のどのようなところが気に入られましたか?

N「質実剛健の英国車に比べ、イタリア車はいたるところが軽快なタッチで惹かれました。ジュリア・スパイダーはデザインに華があり、綺麗です」

お住まいのある東京から遠い広島のショップからの購入に、メンテなどの心配はありませんでしたか?

N「旧車たちの整備は、友人の紹介のショップで見てもらっているので、広島から購入したことに不安はありませんでした」

旧車たちとどのように楽しまれていますか?

N「山中湖に持っている別荘には、ビルトイン・ガレージも備えていて、お店が休みの平日に、ヘリテージカーで往復するのが楽しみです。お菓子作りという仕事とともに、ヘリテージカーとの付き合いや、好きなギター演奏、スポーツなど、いろいろ並行して進めていくことで刺激を受けることができます。そうしたことができる時間を持つことが大切と思っています」

これからも台数を増やしていくとか計画をお持ちですか?

N「旧車遊びは、現時点では4台で満腹状態ですね。でもたぶんそのうち・・・(笑)」

クラシックカー・ラリーとかには興味がありますか?

N「今後はラリーにも出場してみたいですね。なので、まずはナビゲーターで勉強してみたいと思っています」

最後に、将来的な希望などあったらお聞かせください。

N「ちょうど還暦を迎えますが、仕事では、これまでフランス菓子に没頭してきたのを、今後は料理にも挑戦していきたいと思っています。美味しいものをきちんと出せて、さらにはヘリテージカー好きが集まれるカフェもオープンできたらと思っています。65歳で引退と思っていたのですが、これでは75歳にせざるを得ないかもですね(笑)」

Photograph:Taku Amano
Interview:Osam Morikawa

Shop Information

メゾン・ド・プティ・フール 本店住所 : 〒146-0081 東京都大田区仲池上2丁目27−17
TEL : 03-3755-7055
URL : https://mezoputi.com/shop/