HERITAGE CAR BEGINNERS
ヘリテージカー・ビギナーズ

「ここのヘリテージカー欲しい…初歩から詳しく教えてください!」
ヘリテージカーをこれから買いたい方に贈るQ&A

2017.11.01 | Special

volume 09

shop name_ ヴィンテージ宮田自動車
teacher_宮田篤さん(代表取締役)

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「今なら買える! 憧れの国産ヘリテージカー」

憧れのヘリテージカー。実際購入するにあたり、選び方や知っておきたいことを、専門家に指南してもらう新企画。それぞれのクルマの歴史や他にはない特徴などにもお答え。一緒に、玄人が唸る希少なクルマも教えてもらいました。

第9回となる今回は、ヴィンテージ宮田自動車。個性溢れる国産ヘリテージカーの魅力についてお聞きします。



ヴィンテージ宮田自動車さんはどのような車を扱っているのでしょうか?

宮田氏(以下M)「うちの主力は国産のヘリテージカーですね。会社の形態としては指定工場、認証工場っていう形なんですけれども、車検も自社でやっています。新車も中古車も外車も。それこそ軽トラからレクサスまで、ゴルフからフェラーリまで、なんでも扱えるような総合ショップになっています。けれど、スタートが僕の個人的な趣味で始まった店なので、やっぱりメインは大好きな古い国産車になりますね。特に得意としているのは、昭和42年ぐらいから昭和63年までのスカイラインは強いと思います。いわゆるハコスカ、GT-RのS20というエンジンは、自社でオーバーホールも出来ますし、セッティングも出来ます。そういうお店は国内に十軒もないと思いますよ」

数ある車の中で、国産の旧車を好きな理由はなんでしょうか?

M「若い頃、どうしてもスカイラインが欲しかったけど買えなかった。30年、40年も前からポルシェやフェラーリはあったけれども、僕にとっての憧れは国産のスポーツカーでした。2000ccの車欲しいな、スポーツカー欲しいなって思いながら、軽自動車だったり、ちっちゃい車に乗っていました。昭和50年とか、そのくらいの時代。その当時僕は銀行員だったのですが、銀行員の年収が50万あるかないかの時に、スカイラインは新車で百何十万した訳です。年収の三倍ぐらいで、とても無理な訳ですよ。やっぱり、当時から憧れの存在でしたね」

それでは、今回展示されている中で、ビギナーの方にお勧めのヘリテージカーはどちらになりますか?

M「どなたにでも扱えるクラシック入門と言いますか、ネオクラシック的なこのアンフィニのRX-7なんかがお勧めですね。エアコンも付いてパワステも付いていて、一応年数的には25年経っていますが、扱いやすくて初心者向けだと思いますよ」

このRX-7の特徴はどういう点になりますか?

M「一番は、ワンオーナーで無事故、板金歴も1回もありません。色ももちろん塗り替えていません。走行距離も2万5千キロと非常に少ない、ですので“新車みたいだね”と、25年経っていても言われます」

本当に綺麗ですね!一番の魅力はどういったところでしょうか?

M「やっぱりロータリーエンジンですね。アクセルを踏めば踏むほど、スムーズで気持ちいいエンジンです。当時若い人に人気あったけど、なかなか高くて買うのが大変な車でした。でもターボも付いていて、やっぱり早くて楽しい車ですよ。その分皆楽しくなっちゃって事故しちゃうんです。なのでこれだけ低走行な上、事故歴のないフルオリジナルの個体はもう珍しいと思いますよ」

ネオクラシックと言っても…25年前の車ですよね。修理、部品などの心配はありませんか?

M「なによりも国産の強みは、部品がなんとかなるところだと思います。やっぱり昔から携わってきた分ノウハウもあります。三重県の田舎ですので、外国車を見る機会も少ない。身近にあったのは常に国産車でしたから。でもやっぱり、古い物なのは確かですから、状態の良い物もあれば良くないものもあります。これからヘリテージカーに乗りたいって人がいたら、やっぱりネットで判断しない事は大切ですよね。写真だけじゃ絶対伝わらないですよ。ちゃんと実物を見て、エンジンかけてもらって。それからしっかりお店も見る。車選びは店選びって言うくらいですから。それが失敗しない秘訣だと思います」

それでは次に、 玄人も唸らせる…そんなツウ好みの一台を教えてください。

M「それでしたら、このホンダの1300クーペですね。昭和45年製で、当時でももう珍しくなっていた空冷エンジンなんです。空冷の1300ccで4連キャブレター。ドライサンプっていうオイルの循環方式なんですけど、こんなの一般車ではなかなか見られない特殊なメカ。分かる人が見たらびっくりします。なんでこのシステムにしたかというと、車高が低く出来たりするんですけど、この空冷エンジン、4連キャブレターにしてもやはり一番は本田宗一郎さんのこだわりによる所が大きいですよね」

この車が出た当時は、どういう扱いの車だったんですか?

M「グレードも様々で、全部が全部このメカを積んでる訳じゃないんですけど、新車の時はやはり普通の車でした。学校の先生が乗っていたくらい。でも今見ると、車高も低くて新鮮ですよね。この空冷のエンジンも珍しいし、やりがいのある車ですよ」

では、現代の車に対して、クラシックカーやヘリテージカーは機能的に劣る部分は少なくないと思うんですけれど、それでもクラシックカーを選ぶ魅力ってなんですか?

M「やっぱりデザインに個性がある。この当時の車は、各メーカーが本当に個性を出していたんですよ。デザインも性能もシステムも。それにすごく惹きつけられますよね。売れるか売れないかは、作ってから考える。今はどうしても結果を先にしてモノを作っちゃう。そうするとどうしても合理的になってしまって、個性は失われてしまいますから。やっぱり、個性が色濃く残ったヘリテージカーが魅力的ですね」

宮田さんにとって、ヘリテージカー、クラシックカーとはどういう存在ですか?

M「僕にとっては、昔からの憧れの車。そんな憧れの車に少しずつ乗れるようになって、憧れが高じてお店を作って、またそれに憧れる子達がうちに集まって。これは僕の密かな誇りなんですけど、ここ15年間ぐらい辞めてしまったメカニックの子がいないんです。それどころか増えるばっかりで」

社長としては、より一層嬉しいですよね。

M「多分お金じゃないんでしょうね。第一に人と車があって、従業員同士も、お客さんとも人間関係が良くて、なによりもこの仕事を好きになってくれていると思います。だからみんな本当に良くやってくれているし、自慢の社員達ですよ」

最後にこのAUTOMOBILE COUNCILへの想いをお聞かせください。

M「よくぞ頑張って企画してもらったな、という思いでいっぱいですね。日本にこういうイベントは無いものですから、難しいところも山のようにあったと思います。僕たちも、その心意気に乗じて出店をさせてもらっているので、採算も度外視です。だから売りたい車じゃなくて、皆さんに見てもらいたいというのを一番に車を選んで持って来ているんです。皆さんがこの機会に見て、憧れてくれて、いつの日か乗り継いでくれたら、これ以上の事は無いですよ」

Photograph:Taku Amano
Edit & interview::Tuna
Text:Chihiro Watanabe

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