CLASSIC CAR LOVERS
クラシックカーを愛する人々

2017.03.27 | Special

volume 09_Kousuke Matsuki

松木宏祐さん(フォトグラファー)
車種_フォルクスワーゲン ゴルフⅡ(’89年式)

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「自分が育ってきた時代に活躍した車。古すぎないレトロな雰囲気が心地いいですね」

前回の竹中カメラマンより「フォトグラファーの知人でカッコイイゴルフⅡに乗っている人がいます」と紹介してもらったのが今回の松木さん。車は89年式のもので、レトロな茶色が味わい深い。ライフスタイルからこの車への愛を伺ってきた。

フォトグラファーとして活躍されていますが、目指されたきっかけは何でしょうか?

松木氏(以下松)「高校生の時に、ピューリッツァー賞をとった報道カメラマン、沢田教一さんの『安全への逃避』を見てカルチャーショックを受けて、それから徐々に、写真に興味を持ち始めました。それで高校を卒業して大阪芸大の写真学科に進学したのですが、学生時代はカメラを首からぶら下げてよく写真を撮っていましたね。はじめて買ったカメラは、体験入学で進められた『Nikon FM3A』のシルバー。先日、子供が生まれたのですが、初心を思い出して『Nikon FM3A』のブラックがカメラ屋にあったので、衝動買いしちゃいました」

関西を中心に活動されていて、東京に来る事になった理由は何でしょう?

松「大阪でどうにか活動できないかと思い、大学を卒業して1年間過ごしたのですが、とある雑誌を見ていたらふと東京に行こうと思ったんです。それで、親戚の友人が勤めていたスタジオを紹介してもらい、作品を東京のスタジオに見せに行ったのですが『明日から来て』と言われて…家も決まっていないのに(笑)。そこから東京でのスタジオマン生活が始まりました。スタジオマンも終盤の頃、様々な事情が重なり結婚することになったのですが、彼女の親のところに結婚の挨拶に行った時、お父さんに『不安定な職業で娘をちゃんと食べさせていけるのか』と言われて。そのまま独立しようか悩んでいたんですが、それをきっかけにアシスタントになって1〜10まで勉強しようと思い、縁があってカメラマンの木寺紀雄さんに弟子入りしました。必死に経験を積んで独立し、今に至ります」

アシスタント時代に最も学んだことは何でしょう?

松「失敗しても冷静に考えて臨機応変に対応することです。『熱くなりすぎるな。ミスをしても一歩引いて俯瞰で物事をとらえろ』と。僕は、前のめりになる性格だったので、そこは、勉強になりました。今、広告、ファッション、CDジャケット、グラビアなど幅広く撮影しますが、師匠も多岐に渡って撮影していたので、色々と見せていただいたのは、自分にとって大きかったです」

写真を撮る時に大切にしていることは何でしょうか?

松「偶然性をキャッチできるかです。そのためには、仕事でもプライベートでも常に、カメラは近くに置いていないとなと思っていて、いつも鞄に入れていたり首からぶら下げていますね。仕事で人を撮る時は、一瞬しか時間がない時もありますが、入念に準備して撮影に入ったら、プラン通りにいかなくてもいいと思っています。面白いアクシデントがおきれば、そっちを採用しますね。むしろ、それがおきるような準備をしているというか。思い通りの写真が撮りたいわけではなく、自分でも想像してないシチュエーションが、目の前におきて欲しいですね」

それでは愛車のゴルフⅡですが、これを選ばれた理由は何でしょうか?

松「アシスタント時代に師匠がクラシックカーに乗っていて、それを運転している時に、いいなと思っていてはいたのですが、お金もかかるのも知っていましたし『別に乗れればなんでもいいかな』と思っていたんです。ただ、独立して車が欲しいなと思っていた時、奥さんに『ゴルフⅡかわいいねと』言われたのと、師匠が車を買ってたまに修理に出していた『desoto』のホームページに茶色のゴルフⅡが載っていて。『あー、これを買えってことかな』と思って、僕も好きだったので、直感で決めました」

特に気に入っているところはどこでしょうか?

松「ベージュで統一された内装の雰囲気と、外装のシックな茶色です。あとドイツ製らしい上品なイメージも好きですね。シートもレザーで座りやすさもあって。また、不便なんですがミラーが手動なところもシンプルで好きです。あと、テレビとipodが使えるのもいいですね」

トランク部分の上にもベージュのカバーがあるんですね?

松「これは結構珍しいですよね。本当はこれがなければ、カメラ機材などもっとトランクに入れられると思いますが、内装とあわせてデザインされているのが気持ちいいので、そのまま残しています」

カメラマンさんとしてはゴルフⅡはサイズ的に小さめなイメージですがいかがでしょうか?

松「そこは実は悩んではいます(笑)。大きな荷物をのせる時は工夫してのせています。また、家の駐車場のサイズ的にもこのくらいしか入らないんですよ。ただ、利点もあって運転はほぼ東京都内ですが、小回りが利いて、Uターンしやすく、細かな道も運転できるのは楽です。自分にとって最初の車で特別感もあるので、ぶつけない意味でも今は丁度いいです」

外装で気に入っているところはどこでしょうか?

松「色と形です。特にフロントの丸みがある表情が好きですね。バンパーは、ニスで磨いて黒くしてもすぐに白くなるので、あえて白のままにしています。このカラーは気に入っているのですが、茶色でも目立つ色なので行動はいつもバレちゃいます。この車に乗っていて悪いことはできないです(笑)」

街中でゴルフⅡに遭遇することは多いですか?

松「多いですね。知人でも2〜3人います。また、50代の男性の方で、子供が小さい時はファミリーカーだったけれど、子育てが終わってまたゴルフⅡに戻った方の話を聞いたことがありますが、その感じもわかる気がします」

’89年式ですが、この年代のものを今乗るということ、感覚としてどうですか?

松「古すぎるちょっと前、という感じがいいですね。僕より少し年下くらいの感じ。70年代だと故障など含めてちょっと不安なところがありますが、80年代〜90年代は自分が育ってきた年代でもあるので、愛着があります。父親が昔、トヨタのマークⅡに乗っていたので、今自分がその年代の車を乗っているのが少し不思議な感覚ですが、子供が、もう少し大きくなるまでは、乗っていたいですね」

photograph:Taku Amano
edit:Takafumi Matsushita

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