CLASSIC CAR LOVERS OVERSEA
クラシックカーを愛する人々(海外編)

2017.04.26 | Special

volume 08_Tim Bent(in London)

ティム・ベントさん(アンティークショップ・オーナー/Bentleys)
車種 ランドローバー Series III (‘81年式) & スピットファイア4 MK2 (‘67年式)

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「クラシックカーは欠点があっても、ついつい恋に落ちてしまう存在です(笑)」

ハイエンドなレザーのトラベル・ラゲージを中心に、時代を経て手から手へ受け継がれるアンティークを扱うティムさん。大量生産が始まる前の時代に、職人の手で一つ一つ丁寧に作られた、こだわりの英国製革製品が彼の専門だ。例えば航海時代のトランクには、移動のためだけでなく、船旅をレジャーの一部として楽しんだ、英国貴族の豪奢な記憶が秘められている。クラシックカーへの憧れも、同様に、その車の持つ時代性や、そこにまつわるストーリーにあると言う。

ランドローバー Series III についてですが、選ばれた理由は何ですか?

T「ランドローバーの、特にシリーズ3を、買うのが昔ながらの夢だったんです。シリーズ3は50年代に製造されたオリジナルを改良したデザインで、その雰囲気を受け継いでいるところがいいですね。農業用など、オフロードに適した車体なので、ロンドンではもちろん乗り回せませんが、4年前にケンブリッジ郊外のEly(イーリー)という街に移り住み、生活スタイルが変わりました。自然保護区につながった25エーカーの土地があるので、敷地内の移動のため、2年前に購入しました。天気の良い日に、チェーンソーやシャベルを乗せて運転するのが楽しくて仕方ありません(笑)」

特に気に入っているのは、どんなところですか?

T「ノーフォークで開かれていた クラシックカーオークションで出会ったのですが、車体や、幌部分の色あせ具合が、とてもセクシーだと思いました。もともとのブルーも素晴らしい色ですが、経年を感じるまだらな色の変化が魅力的で、絶対に塗り替えたりせずに乗っていたいです。できることなら、洗いたくもないですね。以前使われていた地域の泥が、そのまま残っているような風情が理想なんです。フロントウィンドウには、ナショナルトラスト(自然保護区)のステッカーなど、以前の所有者のシールが貼ってありますが、それも味わいで気に入っています」

T「そして、もちろん機能的であることは必要条件です。作業用の車ですから、金具やレバーは、例えば手袋している手でも簡単に操縦できるよう、シンプルに計算されたデザインになっていて、単純ながら用の美を感じます」

乗り心地はいかがですか?

T「決して良いとは言えないですよ(笑)。僕自身は乗るたびに満面の笑みを浮かべていますが、家族は決して喜んでは乗ってくれません。エンジン音はうなり声のようだし、ガタガタ、ギシギシきしみます。でも、そんなキャラクターこそ愛すべきユニークネスですよね。新車には、そう言った欠点が全て改善されてしまっていて、面白味を感じません。エンジンはレストアせずに、メンテナンスをしながら大事に使っていきたいです」

ガレージにはトライアンフのスピットファイアもありましたが、こちらはいかがですか?

T「25年ほど前に購入した愛車ですが、残念ながら故障中で、しばらく眠っています。イギリスでは、路肩に車を止めてセールのサインと、連絡先を書いておくと、購入希望者が連絡してくるのですが、この車もそのように路上にあり、運転途中で一目惚れした僕が、すぐに連絡を入れました。最近、息子の二十歳の誕生日プレゼントにしようと思い、一度修理をしたのですが、ガレージから帰ってくる途中でヘッドガスケットが焦げてしまいました。長い目で見ながら、再稼動させたいですね」

クラシックカーならではのエピソードは何かありますか?

T「20年ほど前に、ロンドンのコベントガーデンで、ダブルベースのバスカーが演奏しているのを見かけました。ちょうどその日は僕の誕生日で、家で大きなパーティーを企画していたので、ぜひ、うちまで来て欲しいとお願いしたのですが、何しろ二人乗りの小さなスピットファイアです。なんとか、ダブルベースは助手席に、奏者はトランクを開けてそこに座ってもらって、家まで運びました。今なら絶対に捕まってしまいますね」

最後にクラシックカーの魅力をお聞かせください。

T「デザイン性ももちろんですが、クラシックカーには一台一台、その車特有のヒストリーがあります。レイヤーを重ねるように、時代と共に、魅力的なキャラクターを増していくところが素晴らしいと思います。欠点があっても、ついつい恋に落ちてしまう存在ですね」

アンティークショップ「Bentleys」の詳細はこちら bentleyslondon.com
Photograph & Text: Sayaka Hirakawa (Borkin communications)

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