CLASSIC CAR LOVERS
クラシックカーを愛する人々

2017.06.8 | Special

volume 13_Fumiaki Kadouchi

丸餅博士 門内文明さん(NEKO PUBLISHING)
車種_FIAT 500 L(’ 71年式)

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「ただの道具じゃない。私にとっては意思が通じた家族という感覚です」

ポテっとしたフォルムが丸い餅に似ていることからつけられた“丸餅”こと「FIAT 500」。この愛車を持つのは“丸餅博士”こと門内さん。50年以上のミニカー・コレクターでもあり、雑誌『モデル・カーズ』の「丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー天国」、『カー・マガジン』の「Our Own Cars(旧車長期レポート)」で連載を持っていることでも有名です。そんな門内さんが横浜で行われているおもちゃ蚤の市「第98回 ワンダーランド・マーケット」に出展されているということで、車への愛を伺いに行ってきました。

ミニカーコレクターとしても有名な門内さんですが、このイベントではどのようなものを出展されているのでしょうか?

門内(以下門)「古いミニカーを自分で修理して置いています。例えばこのデンマークのテクノ・ブランドの『メルセデス・ベンツ220SE』は、1960年代の前半に発売していたものですが、これを見つけた時はマスコットが折れた状態で、ヘッドライトがなかったんです。それで他のミニカーから実際使用されているオリジナルデザインを探して型取りして補修しました。もし、他のミニカーに同じデザインがない場合は、自分でそれらしく作ったりします」

とても緻密な作業ですね! 今日ある中で特に珍しいのはどれですか?

門「これも自分で修理したのですが、この国産の大盛屋が作ったミクロペット・チェリカフェニックス・シリーズです。その『トヨペット・クラウン 64年型。60年代に発売されて、もう製造されておらず、しかも弱い素材で作られているのでぶつけるとすぐ凹んでしまうので、状態が良いものがほとんど残っていないです。凄くプレミアがついているデザインですね』

なるほど。ではミニカーを好きになったきっかけは何でしょうか?

門「初めて親にミニカーを買ってもらったのが小学校2年生の頃。自動車ショーの帰りにどうしても父親に買ってもらおうと思って、帰りにデパートに連れて行ってもらい、そこで『日産シルビア』を買ってもらったっていうのが第1号です。それから、当時の自分にしては高価だったので沢山は買えなかったのですが、マッチボックスっていう小さいミニカーが150円くらいで買えたので、とにかく買えるものは片っ端から買って。それで遊び倒したんですけど、その後はプラモデルや、切手の収集、鉄道模型にもハマって。中学1年の時にもう本格的なミニカーコレクションに目覚めましてそれ以来ずっと現役でコレクションしています。暦でいうともう50年超えてますね。学生時代は『ハコスカKGC10』の車をどうしても欲しかったんですけど、それを買うためにおもちゃ屋さんでバイトして。でもバイト代は全部ミニカー買っちゃってなかなかお金がたまらなくて(笑)」

ディーラーネームが「マルモチモータース」ですが、これはどういう意味でしょうか?

門「丸い餅の事なんですが、正月の鏡餅。私の車が白で、オーバーフェンダーついているんで、本当に似ているということで誰かが丸餅っていう名前で呼んで。それで雑誌『モデル・カーズ』でミニカーの連載を始める時に、前の編集長の方が丸餅博士みたいな感じに名前をつけてくれて。それで、お遊びで丸餅モータースっていう。ごっこですよね。実車じゃなくてミニカーを修理、板金塗装とか修理するという意味で遊んでますね」

ご自宅ではどのように保管されているんですか? コレクション歴からするとかなりの数かと…

門「数でいうと数えたことないですが、多分500台くらいじゃないですかね。少ない方だと思いますが、私は数より質だと思っています。コレクションって自慢するためじゃなくて自分で満足できれば良いので。なので、本当に好きなミニカーは色が一緒でも何台も買ったりして…偏っているのですが、それが幸せです。保管は家族には不満を言われますが、狭いリビングの真ん中にショーケースを置いていて。家にいる時はそれを食事するときも含めずっと眺めていて。『寝室に移動して!』と家族に言われますが『それだけは頼むから勘弁して!』って(笑)」

それでは、一緒に展示されている『FIAT 500』についてお聞きできたらです。

門「71年型で今はあまり現存していないのですが、元々はディーラー車でした。それを『アバルト695SS』のアセットコルサ仕様にモデファイしてます。で、結構チューニングしています。もう30年くらい乗っていますね。初めは弟がスクランブル・カーマガジン(現カー・マガジン)の売買欄で見つけて購入したのですが、私が1度のったら虜になって。それで、これを手放すという話になり『俺に譲れ!』と。しかも強引に安く。弟には未だにそれについて文句言われますね(笑)。」

兄弟なので(笑)。状態はどうだったのですか?

門「外見は似たようなオーバーフェンダーだったんですけどエンジンはノーマルで故障だらけでまともに走らなかったんです。それを直して、最終的にはボディもレストレーションしました」

実際に乗ってみて感じることは?

門「本当に遊園地のゴーカートをそのまま路上で乗っている感覚なんですよ。もう、おもちゃみたいにワクワクドキドキするような楽しさなんですね。ただ、ちょっとコツがいる車なんですよ、古いのでギアーは丁寧にダブルクラッチを踏んであげないとギア鳴りして入んないとか。そういうテクニックがいるんですが、それができると余計愛着が湧くというか」

デザイン的にはいかがでしょか?

門「気に入っています。元々は大衆車で、性能やサイズ感からみなさんから可愛いと言われますが、この形はあえて可愛らしさを狙ったのではなく機能美を追求したらこれになったという感じ。少しでも車内を広くするために丸くして…という感じ。なので可愛らしさに嫌味がないといいますか」

内装についてはどういじっていますか?

門「500Fのデラックス版が500Lなんですね。なので元々はプラスティックのカバーが付いたり、角形のメーターがオリジナルで付いていたんです。ウインドウのモールも真ん中にシルバーが入ってたり、オーバーライダーが付いてたり。でも、『FIAT 500』の1番の魅力って何もない質素な…原点みたいな車だと思うので、それに準じて取っ払っちゃったんですね。メーターをアバルト風に変えたりダッシュボードも鉄板むき出し。そういう無駄のない質素な感じが魅力ですね」

では不便だけど愛していることは?

門「不便はチューニングもしているので、特に冬場は未だにエンジンがなかなかかからない。毎回、祈りながらドキドキしながらエンジンをかけています。それ以外はダブルクラッチ踏んだりとかギアー鳴らさないようにとかいたわって運転します。なので、自分の体調が良くないと乗りたくないですね。万全の体調で乗ってやらないと車に失礼というか。お互い楽しくないと」

門内さんにとってこの車はどのような存在ですか?

門「家族みたいなんですよね。もう30年ずっと苦楽を共にしてて。うるさいし、振動も強いし、エンジンの故障もあります。夏はエアコン効かないですし。妻はずっと車を変えたいと言っていたのですが…ただ今では修理などでうちのガレージからしばらくいなくなると『やっぱりいないとちょっと寂しいね』って言ってくれるんです。音と振動が凄いのですが助手席で眠れるくらいもう慣れちゃって」

「FIAT」欲しいと思っている方にオススメポイントを教えてください。

門「まず、部品に関しては全く不自由ないです。やっぱりイタリア国民的にはこの車を財産という形で大切に、誇りに思っているみたいで、パーツもしっかりありますね。故障しても私は主治医がいるので安心。小さな故障なら自分で修理できるように、パーツセットをいつも積んでいます。気に入っているならかなりオススメします、もう人生変わりますからね」

では最後にクラシックカーの魅力とは?

門「目的地に行くだけであってもやっぱり幸せに移動ができることです。ただの道具じゃない感じ。あとやっぱりアナログな感じ…それが逆に人間らしいと言いますか。メカニズムで制御されて乗せられているんじゃなく、自分で操縦することで、様々な音や匂いなど五感で楽しめますし、逆にそれで不調な部分をキャッチできる。生き物みたいな感覚です。なので家族ですね…人間というか。笑われちゃうかもですが意思が通じている気もします。オーナー守って壊れてくれるので、1番びっくりするのは故障してもオーナーを守ってくれて家までなんとかたどり着いてくれたってことが何度もあります。『よく頑張ってくれたね』って思います。そうすると余計愛情がわいちゃいますよね」

photograph:Taku Amano
edit:TUNA

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