ズバリ「クワトロ」をテーマに掲げた、今回が初出展となるアウディ。プレスカンファレンスには、アウディジャパン社長の斎藤 徹氏が登壇し、クワトロの系譜について語った。
1980年のジュネーブショーで衝撃的なデビューを飾ったアウディ・クワトロ。フルタイム4WDシステムを導入した、今日のスポーツ4WDの元祖である。
「通称ビッグ・クワトロこと最初のクワトロから、近代アウディの歴史は始まったと言っても過言ではありません」と斎藤氏は語ったが、その言葉のとおり、スポーティなプレミアムブランドという今日のアウディのポジションに至る道のりは、初代クワトロによって切り開かれたといえる。
1976年から77年にかけての冬季、アウディが北欧で走行試験を実施した際に、同行させていた軍用4WDの走破性の高さに着目したことから、開発がスタートしたというクワトロ。1981年からWRC(世界ラリー選手権)に参戦、初戦のモンテカルロラリーから圧倒的な速さを見せて注目を集めた。
翌1982年にマニファクチャラーズタイトル、83年にはドライバーズタイトル、そして84年には双方のタイトルを獲得。85年までに23勝を挙げて、クワトロの名声を不動のものとする。その強さの目の当たりにしたライバルも、続々とフルタイム4WDシステムを導入。ラリーそして高性能車の世界には、不可欠のメカニズムとなっていった。
今回、会場にはドイツ本国のヒストリックカー部門であるアウディトラディションから、1985年シーズンに伝説のドライバーであるワルター・ロールのドライブでWRCに参戦したアウディ・スポーツクワトロS1が飛来。ワークスマシンのならではの迫力ある姿を見せている。
クワトロでWRCを席巻した後、1980年代後半から、アウディはサーキットに戦いの場を移した。北米のトランザムシリーズやIMSAを皮切りにDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)、そしてWEC(世界耐久選手権)などに参戦。ルマン24時間では、通算13回の総合優勝という金字塔を打ち立てた。
そうしたモータースポーツでの経験をフィードバックして、市販モデルのすべてのラインナップにクワトロを展開。進化を続け、やがてクワトロはアウディの代名詞となった。
今回、オートモビルカウンシルの会場で、そのクワトロを採用した最新のハイパフォーマンスモデルであるRS 5クーペが日本初公開された。
「アウディは2012年からRS 5でDTMに参戦、この新型も今年からDTMを走っています。アウディスポーツ社で開発された新型RS 5クーペは、長年にわたってモータースポーツで磨かれてきたクワトロの技術を受け継いだモデルなのです」
斎藤氏がそう語ったRS 5クーペは、450psを発生する2.9リッターV6ツインターボエンジンを搭載。0-100km/h加速3.9秒、最高速度280km/hという圧倒的なパフォーマンスを発揮する。
アウディジャパンでは、今年になってから新型R8スパイダーとTT RSを発売。今回のRS 5クーペに続いて、さらにRS 3セダンおよびスポーツバックを年内に導入予定で、RSレンジの拡販を目指すという。