1956年11月に設立された日本クラシックカークラブ(The Classic Car Club of Japan 略称CCCJ)。自動車を美学的見地から論評した日本で最初の美学者である浜 徳太郎氏を初代会長として、後にCAR GRAPHIC誌を創刊し、CCCJ会長も務めた小林彰太郎氏らごく少数の熱心なクラシックカー愛好家が創設メンバーだった。

CCCJの目的は、「クラシックカー」こと時代を越えた優秀なクルマを調査・研究し、歴史的文化遺産として保存するとともに、路上やサーキットで正しく使用し、いい状態で次世代に伝えること。CCCJは国際的にも広く認知されており、全世界のクラシックカー愛好団体を統括する、イタリアはトリノに本部を置く国際的組織FIVA(Fédération Internationale des Véhicules Anciens)にも1978年に加盟している。

CCCJは設立以来70年に近くにわたって、定例的にセミナーや見学会を開き、友好クラブと協力してイベントを開催してきた。久々となるオートモビルカウンシルへの出展も、そうした活動の一環となるものである。

「過去のモダンを護り、未来のクラシックを育む」というテーマのもとに展示されたのは、1925年「ドラージュD1トルペード・スポーツ」と1970年「ランチア・ストラトス・ゼロ」の2台。前者はヴィンテージ期の名車、後者は本年3月に奈良・薬師寺で開催された「コンコルソ デレガンツア ジャパン 2025」に展示された、マルチェッロ・ガンディーニによるウェッジシェイプの先駆となるモデルだ。

プレスカンファレンスに登壇したのは、かつていすゞや日産のデザイン部門を率い、現在はデザイン会社を主宰する中村史郎氏。彼はまたCCCJの副会長も務めているのだ。

中村氏は、次のように語った。 「およそ130年の自動車の歴史のなかで、100年前のドラージュと50数年前のストラトス・ゼロ。ドラージュは当時としては先進的かつモダンで、いっぽうストラトス・ゼロは『クルマではない』とまで言われたほどインパクトのあるモデルだったが、どちらも時代を超えた魅力を持っている。その魅力を次世代に伝えていくのも、我々の使命のひとつなのだ」。

そして「クラシック=古いクルマではない。もし50年後にオートモビルカウンシルが存在したら、そこには現在のクルマも並んでいるはず。つまり、これからクラシックを育てていくことも大切なのだ」と続けた。

中村氏は、「なぜクラシックが好きなのか? それはけっしてノスタルジックではない。クラシックには、すごく学べるものがあるからだ」という。「そうした部分をCCCJと会場にいるクルマ好きのみなさんと共有して、クルマ文化をいっしょに作っていきたい」と結んだ。