スバルの展示テーマは「事故ゼロを目指して60周年」。プレスカンファレンスには同社国内営業本部 マーケティング推進部部長の小島 敦氏が登壇、スバルの安全思想と取り組みの歴史について語った。

スバルのルーツとなる航空機メーカー、中島飛行機の創業者である中島知久平が、前身となる飛行機研究所を開設したのは1917年。つまり今年2017年にスバルは創業100周年を迎えるが、初期のスバル車の開発スタッフは、航空機の開発経験者たちだった。よって航空機づくりのDNAが、そのままクルマづくりに受け継がれたのである。

言うまでもなく、航空機は事故が起きると墜落する危険が非常に高く、乗員の生命の危機に直結する。よって危険に陥らない、事故を起こさないための工夫が非常に大事である。その設計思想を受け継いだスバル車は、当初から安全性能を重視してきた。1958年に発売された最初の市販車であるスバル360の時代、日本では衝突安全の概念がなかった時代から、独自に衝突試験を実施してきたという。また歩行者保護についても、その言葉すらなかった時代から試行錯誤を重ねてきたそうだ。

時代とともに進化してきたスバルの安全技術。現在では「クルマを構成するすべての要素で安全性を考慮する」という思想から生まれた、「スバルの総合安全」に集約されている。それを構成する要素は、視界のよさやドライビングポジションなどによる0次安全、シンメトリカルAWDや低重心設計などの走行安全、アイサイトに代表される予防安全、そして乗員および歩行者を保護する衝突安全の4つである。そして総合安全を実現する5つのコア技術が、水平対向エンジン、シンメトリカルAWD、低重心パッケージ、スバルグローバルプラットフォーム、そして運転支援システム「アイサイト」だという。

スバル独自の運転支援システムであるアイサイトは、1989年に車載用ステレオカメラの開発から始まった。10年後の1999年にアクティブドライビングアシストとして商品化され、2008年にアイサイトに発展。現在では安全運転支援技術のパイオニアとして広く認識されている。

装着の有無による比較で、装着車は人身事故全体で約6割、うち追突事故では約8割も事故率が低減するというアイサイト。「もっとぶつからないクルマへ」を目指した、さらなる進化バージョンが、アイサイト・ツーリングアシストである。会場に展示された、8月7日に発売される新型レヴォーグと新型WRX S4の全車に搭載され、今後は国内のほぼすべてのスバル車に標準装備化を進めていくという。

徹底的に走り込み、人間の運転感覚に近づけ、「クルマが好きだ、運転が好きだという人にこそ使ってもらいたい」と小島氏が語るアイサイト・ツーリングアシスト。スバルは今後もこうした高度安全運転技術を進化させ、安全事故ゼロという究極の目標に向って真摯に取り組んでいく、と結んだ。