初回から4年続けての出展となるホンダの、今回のテーマは「Honda ものづくりー継承されるM・M思想~生活を豊かにする“人中心”のコンセプト~」。M・Mとは「マン・マキシマム/メカ・ミニマム」の略、すなわち「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」というホンダのクルマづくりの基本思想である。そのM・M思想を具体化し、1981年にデビューした初代シティ、シティの荷室に搭載可能なトランクバイクのモトコンポ、それらと同時代に販売された携帯発電機のデンタEM400、そして現行モデルのN-VANをなど、人々の生活を豊かにするという創業以来の思いのもとに作られてきた四輪、二輪、そして汎用製品を展示した。

プレスカンファレンスには、ブランド・コミュニケーション本部の朝日嘉徳氏が登壇。 ホンダは1967年に発売し、軽の常識を覆す高性能と居住性、そして低価格で大ヒットした軽乗用車のN360から、M・M思想を謳ってはいなかったものの、そのコンセプトに沿ったクルマづくりをしており、それがDNAとして継承されてきたとアピール。そのM・M思想を、初めて対外的に大々的に発信したモデルが初代シティで、「第二次オイルショック直後の1978年に、80年代の画期的な商品を作るという使命のもとに開発がスタート。居住性、燃費、動力性能など、クルマとしての機能を最大限に追求しつつ、既成概念にとらわれることなく、エンジンやサスペンションなどのメカニズムは最小のスペースに収まるように設計。まさにM・M思想の体現したモデルだった」と紹介した。

いっぽう最新のN-VANについては、「一見したところ“人中心”とは関係ないように思われるかもしれないが、独自のセンタータンクレイアウトとシート設計によって助手席スペースまで低床フラットな荷室を実現し、助手席側センターピラーレス構造によって生まれたワイドな開口部は荷室へのアクセスを容易にするなど、“働く人”のことを考えたクルマ。ここにもM・M思想が生きている」と説明。荷室には原付バイクのクロスカブ50と携帯蓄電器LiV-AID E500が積まれていた。

それらの朝日氏が呼ぶところの“実機”とともに、ブースにはデザインスタジオのメンバーが3Dデータを駆使して製作したというシティ、モトコンポ、そしてデンタEM400の1/4スケールの超精密モックアップモデルも展示された。普段の仕事ではできないモデルづくりを通じて、実機が発売された当時は生まれていなかった若手メンバーに、CADデータもない時代に手書きの図面だけで複雑な機構を生み出した先人へのリスペクトが生まれ、技術の継承と研鑽に役だったというモデル群。来場者から実機に優るとも劣らない視線を浴びていた。