前回、1960年代をテーマとしたトヨタ(トヨタ博物館)のブースに、64年の東京五輪で聖火を運んだ、日産の保存車両であるセドリック・スペシャルの姿があった。国籍やメーカー、ブランドの枠を超えて、というトヨタ博物館の姿勢を体現した展示であり、将来的にこの思想を発展させ、メーカー各社が同じテーマに沿って出展したらどうか提案されたが、早くもそれが実現した。トヨタ博物館が国内メーカー全社に声をかけ、それに賛同した日産、ホンダ、スバルにトヨタとレクサスを加えたモデル7台が並んだ共同展示ブースである。

テーマは「80’s 百花繚乱」。プレスカンファレンスに登壇した、いわば幹事役であるトヨタ博物館副館長の増茂浩之氏は、「1980年代は各社が独創性や品質などの面で、欧米メーカーに追いつき追い越せとばかりに努力した結果、さまざまな技術やスタイルが生まれた、日本のメーカーにとって非常に重要な時期だった。そうした当時のメーカーの勢いを開花になぞらえ、百花繚乱と名付けた」と述べた。

各メーカー/ブランドの出展車両は、トヨタから国産初のミドシップスポーツである初代MR2と、車高の低いスタイリッシュな4ドアというジャンルを開拓した初代カリーナED。ホンダからは国産では24年ぶりのフルオープンで、全12色のボディカラーを揃え若年層を中心に人気を博したシティ・カブリオレ。日産からは、それまでのZの流れを継承しつつも、まったく新しい、躍動感のあるダイナミックなスタイリングを持つフェアレディZ(Z32)。スバルからは空力性能に注力して開発された、エキセントリックなスタイリングを特徴とする初のスペシャリティカーだったアルシオーネと、より快適に、より速く、より遠くまでというグランドツーリング思想に基づき社運を懸けて開発され、ワゴンブームを創出した初代レガシィ・ツーリングワゴン。そしてレクサスからは、優れた走行性能と圧倒的な快適性を両立し、既存の高級車の概念を覆したモデルとして世界を震撼させたLS400。以上7台のテーマにふさわしい、時代を象徴するモデルたちである。

増茂氏によれば、「もし同じ企画を現行モデルでやったとしたら、お互いに対抗心がメラメラ湧いて成立しないだろう。だが、ヘリテージカーの場合はまったくそんなことはなく、和やかなムードのうちに企画を進めることができた」とのこと。次回以降はさらに多くのメーカーの賛同を得て、規模を拡大して継続したいと結んだ。