‘1970 ダットサン・ブルーバード 1600SSS

日本に真の意味でスポーツセダンを根付かせた立役者がP510型ブルーバードだった。SSSはスーパースポーツセダンの略。1.6ℓSOHC ツインキャブ4気筒、ストラット/セミトレーリングアームの4輪独立懸架は当時としては異例に高度な設計で、「技術の日産」の面目躍如だった。1970年東アフリカ・サファリラリーは、スタート8時間後から激しい雨に見舞われ、最悪のコンディションとなったが、泥沼と洪水の中ワークスブルーバードは逆に活気づき、総合1、2、4位でフィニッシュ。オーバーオール・ウィンに加えクラス/チームの3冠完全制覇を日本車として初めて達成した。今回展示されるのは、総距離5432km、全区間を通じてのアベレージが98.7km/hと高速に設定されたそのサファリラリーのフィニッシュラインに真っ先に駆け込んできたウイニングカーそのものである。

 

‘1972 ダットサン240Z

サファリラリーで大活躍したフェアレディZは、雪と氷のモンテカルロラリーでも好成績を残した。FFのミニやシトロエンDS、RRのポルシェ911やアルピーヌA110が活躍し、FRは不利と言われていた時代。名手ラウノ・アールトネン/ジャン・トッド組によって72年の同イベントで、ジェラール・ラルース操るポルシェ911を激しく追い上げ、3位に入賞したのがこの240Zである。SOHC 直6 2.4は220ps/7200rpmを発揮する。ニッサンの、ひいては日本車の高性能イメージを世界に轟かせた傑作といえる。ちなみにアールトネンは誰よりもテールを大きくスライドさせたドライビングを見せたが、ボディにかすり傷ひとつ負わせることなくフィニッシュし、Zのハンドリングの素直さを証明してみせたという。

 

‘1982 ダットサン・バイオレットGT

510ブルーバードや240Zの影に隠れて目立ちづらいが、79年から82年にかけて、サファリラリーで史上初の4連覇という偉業を達成したのがバイオレットGTだった。優勝クルーはいずれもシェカー・メッタ/マイク・ダウティ組。展示車は82年の総合優勝マシーンで、グループ4チューンの直列4気筒DOHC4バルブエンジンは230ps/245Nmを生んだ。とはいえ順風満帆に過酷なラリーを走り切ったわけではなく、リアアクスルを何度も破損しながら、激しく追い上げるオペルのアールトネン、そしてロール操るオペル・アスコナ・デュオをなんとか振り切って得た勝利だった。特にアールトネンは前年ダットサンチームに属し、チームメイトのメッタと最後まで首位争いを演じた因縁のライバル。まさに死闘と呼ぶに相応しい戦いだった。

 

‘1982 ニッサン240RS

S110型3代目シルビアをベースに、ニッサンが生んだグループBモンスターがこの240RSだ。WRCデビューは1983年モンテカルロ。FJ24型直列4気筒DOHC 2340ccエンジンは、NA故275ps過ぎず、スーパーチャージャーで武装し、同ラリーを制したランチア・ラリー037の305psには及ばなかったが、“エクストラドライ”と称されたコンディションにも助けられ、FRレイアウトというコンベンショナルな設計であるにも関わらず、韋駄天サロネンのドライブで総合14位に食い込むという侮り難い実力を見せた。実際同年のニュージーランド・ラリーでは2位、85年のサファリでは3位に入賞する等、ポテンシャルは高かった。今回の展示車は日産名車再生クラブにより、モンテデビュー時の姿にレストアされたレプリカである。

 

‘1998 スバル・インプレッサ 555 WRC

ボクサー4気筒エンジンとフルタイム4WD。スバルが長く培ってきたコア技術で、一時期WRCを席巻していたのがインプレッサだ。今回展示されるのは98年のサンレモラリー出場車。コリン・マクレー、ピエロ・リアッティに託されたワークスカーが2位、3位に入賞した際の1台だ。この年マクレーは第4戦ポルトガル、第6戦ツール・ド・コルス、第8戦アクロポリスで勝ち、ドライバーズ/メイクス両選手権をリードしたものの、その後ランサー・エボリューションを駆るマキネンに3連勝を許し、前年まで3年連続で守ってきたマニュファクチュアラーズ・タイトルの防衛を逃した。とはいえ最終戦では電子制御セミATを導入する等、次シーズンに向けた開発に用いられたことも事実だった。

 

‘2008 スバル・インプレッサ WRC

2005年以来勝利から遠ざかっていたスバルが、希望を託して2008年シーズン途中のアクロポリスから投入したのがS14というコードネームで呼ばれたハッチバックのインプレッサ・ワールドラリーカーだ。エンジン以外はすべて刷新されたといって良く、大型化されたボディはダウンフォースを向上させコーナリングスピードの増加に寄与、ロングホイールベース化はスタビリティ改善に結びついた。トランスミッションもサスペンションも新設計。S12B型で悩まされ続けたダンパーにも大幅な改良が施された。その甲斐あってエースのペター・ソルベルクはS14のデビュー戦でいきなり2位に入賞。1年ぶりに表彰台に立ったほか、クリス・アトキンソンは最終日に最速ステージタイムを記録する等、高い戦闘力をいきなり見せつけた。