初出展したヤナセ クラシックカーセンター。ブースには故吉田 茂元首相が愛用した300SEラング、故梁瀬次郎名誉会長の専用車だった600リムジーネ、正規輸入された8台のうちの1台である600プルマンといった弩級のモデルをはじめ、歴代のSLなど8台のクラシックなメルセデス・ベンツと、1953年に初めて正規輸入されたフォルクスワーゲン・ビートルの計9台をズラリと展示していた。これらは販売車両ではなく、同社が提供するサービスを示すサンプル。2018年4月に設立された同社は、ヤナセ取り扱いではないメイクを含む輸入クラシックカーのレストアおよびリコンディショニングを専門に行っているのだ。

1915年の創立以来、100年以上にわたって日本における輸入車の歴史をけん引してきたヤナセ。かつてはGM(ゼネラルモータース)、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲンを筆頭に多くのモデルをインポーターとして輸入し、累計販売台数は200万台を超える。そんなヤナセが長年の経験から培った高い技術力とネットワークを生かし、往年の名車をヤナセクオリティで蘇らせるのが、ヤナセ クラシックカーセンター。輸入クラシックカーのなかでも、30年以上前に製造されたオールドタイマーと、昨今人気が高まっている20~30年前のいわゆるヤングタイマーの双方を主な対象とする。

ドイツの技術、安全、証明サービスに関する認証機関であるテュフ・ラインランドによるクラシックガレージ認証を受けたファクトリーには、特殊な技術が必要とされるアルミボディの修復も可能なボディショップやトランスミッションやオルタネーターなどのリビルド施設も備え、ユーザーからのあらゆる要望に応えるという。

プレスカンファレンスには、ヤナセ代表取締役社長の吉田多孝氏が登壇。クラシックカーセンター設立の経緯について、「ヤナセでは、はるか以前から一部の事業所でクラシックカーのレストアやサービスに取り組んできた。そこで培われた技術やノウハウを後世に伝えるためにも、今こそ必要だった」と語った。「いいものだけを世界から」といえば、かつてインポーターだった時代のヤナセのスローガンである。それに対して現在は「クルマはつくらない。クルマのある人生をつくっている」というスローガン掲げているが、それを体現したのがクラシックカーセンターなのだという。「クラシックカーセンターによって、クルマのある豊かな人生を楽しむ大人に、憧れのクルマを手にする歓び、愛車を走らせる楽しさを提供したい」と、その目的について説明した。

続けて「優れた工業製品であるクルマを後世に伝えるという意味で、クラシックカーセンターの業務は文化的にも意義のあることと考える」と語った吉田氏。「活動を通じてクルマのある豊かな社会をつくると同時に、クラシックカーの持つ文化的な意義についても広く発信していきたい」と結んだ。