COLLEZIONE

『あなたの人生はラテン車とともに』ヘリテージから現行車まで、ランチア、アルファロメオ、フェラーリ、ルノーといったイタリア・フランス車全般のスペシャリスト〝COLLEZIONE(コレツィオーネ)〟。世田谷に本店を構え、特筆すべきは在庫車の豊富さ。目黒通りに突如現れるヘリテージカーの楽園は、いつ覗いても魅力的なラテン車で溢れ、好き者には堪らない空間となっている。この豊富な在庫車のほとんどが、整備簿がしっかりと残り、歴代オーナーの愛情が注がれた素性のハッキリした個体たち。ユーザーからの買い取り、下取りをメインとして良質な在庫車を常に揃えられるのは、長年のお付き合いのある顧客を多数抱えるコレツィオーネならでは。

今回のコレツィオーネブースには、1960年代を彩るビビッドなスパイダーが2台 登場。エレガントなロッソを纏った美しいスパイダーは〝1965年式 AlfaRomeo 2600 Touring Spider〟当時1600ccなどの小型エンジンを搭載したジュリアが好評を博していたアルファロメオの大型車ラインナップ、アルファロメオ 2600のスパイダーモデルである。直列6気筒2600ccのエンジンをフロントに搭載し、カロッツェリア・トューリングがボディ架装を担当した一台は、当時イタリアで主流だった共通のシャーシを基に様々なカロッツェリアがボディ架装を行う方式によって産み出されたもの。アルファロメオでは最後の「直列6気筒」を搭載したこの優雅な一台は現存数も少なく、貴重な一台。そしてビビッドなブルーが際立つ一台は〝1960年式 Fiat Abarth 750 GT Spider Zagato〟。ダブルバブルで有名なFIAT ABARTH 750GT Zagatoのスパイダーモデルとして、1957年のトリノショーに出展されたプロトティーポ(プロトタイプ)モデルである。市販を前提に製作されたこの一台は不運にも市販化はなされず、プロトティーポとして僅か4台程の生産に留まってしまった、またとない貴重なコレクタブルカーである。

COLLEZIONE(コレツィオーネ)
URL: www.collezione.co.jp


 

原工房

東京都江戸川区に店舗を構え、そのアットホームな雰囲気でオートモビルカウンシルでもお馴染みの存在となっている〝原工房〟。プジョーを代表として、シトロエン・DS・ルノーとフランス車全般を取り扱い、車検・修理・整備全般を手掛けている。代表の原 誠二社長は、プジョー日本正規導入以前から半世紀近くプジョーに情熱を注ぎ、プジョーメカニックの頂点を目指し続けてきた生粋の自動車職人。整備に対する信頼から、広報車の整備を担当し、全国の正規ディーラーのヘルプ対応や技術支援を任されるなど、プジョージャポンにとっても頼れる存在となっている。しかし職人特有の鋭い眼光裏腹に、絆を大切にする心優しい人柄を持つ原社長の下に訪れる人は後を絶たず、まさしく「困った時の駆け込み寺」としてフランス車フリークに愛されている。今年度も、原社長がかわいらしいパッケージデザインに一目惚れしたという、フランス製オイルメーカー〝Unil Opal (ユニル オパール)〟と共同出展。ユニルオパール製オイルは、ほとんどの製品が各欧州自動車メーカーやACEA規格の承認を取得しており、「高い信頼性」を持つ事で認知されている。ラインナップはクリーンディーゼルを始めとして、幅広い実用車に最適なオイルが用意され、フランス国内ではエンジンオイルのシェアNo.1。創業より60年余りの歴史を持つ、信頼の老舗オイルメーカーである。

ジョーヘリテージ事情としては、日本での歴史がまだまだ浅い事もあり、プジョー205など人気のあるモデルは市場に出る前に売れてしまう事もしばしば。そんな中でも若い方が店を訪れる事も多く、徐々にブランドイメージが変わりつつある印象もあるのだとか。そして、今年のオートモビルカウンシルに並んだのは、プジョーの中でも随一の優雅さを醸す〝2001年式 Peugeot 406 Coupe〟このモデルはイタリアのカロッツェリア ピニンファリーナの手による美しいスタイリングを持つ大型FFクーペとして、1996年のパリモーターショーで登場。日本国内では1998年から2005年まで販売が行われ、外装は当時ラインナップされていた406セダンや406ブレークとは全く異なる専門品で構成され、内装にも多くの専用部品が使用されており、架装もピニンファリーナの工房にて行なわれるなど、当時の旗艦モデルとして存分に注力されたモデルとなっている。新車当時はカタログカラーのイエローや、ルガノグリーン(淡い緑)、ハイペリオンブルー(淡い青)など、ボディの造形がより柔らかく見えるカラーが好まれ、今回展示されたビザンス・ブルーのような濃色の色味は、ボディラインがくっきり出てしまう事から売れ行きは良くなかったカラーの内の1つ。しかし今となっては好印象に見える端正なブルーに、キャラメルレザーがしつらえられた内装を持つこのパッケージは魅力の一言に尽きる。年式・車齢的にもトラブルフリーではないものの、原工房にはトラブル事例・対策のノウハウが豊富に蓄積され、相応のメインテナンスを行う事で現代の交通事情でも快適に楽しむ事ができるという。


 

BECK JAPAN

株式会社ヨシムラオートが日本総代理店として全面プロデュースする、〝BECK JAPAN〟ポルシェの伝説を創り出した優れたデザインに並外れた走行性能を持つ歴史的スーパースポーツカーを、公道からサーキットまで気軽に楽しめるレプリカモデルとして現代に蘇らせたクラシックポルシェのコーチビルダー、BECK。ヨシムラオートでは日本総代理店として本国へのオーダー、メインテナンスに関する全てを取り扱っている。ベックの歴史は古く、元シェルビー・アメリカンのエンジニアにして生粋のポルシェ エンスージアストであるチャック・ベック氏による「ベック・デベロップメント」が半世紀以上前に設立され、ポルシェ550スパイダーのキットカーを販売を行ったのが始まり。クラシックポルシェのフレームやボディに忠実に従いながらオリジナルボディを製作し、エンジン等の様々なコンポーネンツを選択しながら車両を製作する事ができる。製造しているのは、ポルシェ550スパイダー、ポルシェ 904GTS、ポルシェ356スピードスターなど。大変貴重で手に入れることが難しいクラシックポルシェの魅力をそのままに、現代に蘇らせたのがベックシリーズだ。

今回のオートモビルカウンシルでは、2015年式 Beck Speedsterと、2021年式 Beck 550 spiderを展示された。ベック 550スパイダーはヨシムラオートでオーダーした最新のモデルで、最新の6速ワイヤーリモートシフトや、それまでVWビートルの流用だったペダルもオルガン式の剛性感溢れるものに改良されている。そのほかにも、マイル⇒km表記への変更や、取り外し可能ロールゲージなどのオプションをチョイスし完全な日本仕様としてオーダーが行われ、日本から、日本の道路交通事情に合わせた細かなオーダーが可能なところも大きな魅力の一つとなっている。もう一台の2015年型 ベック 356スピードスターは、昨年ベック社製の356スピードスターとしては日本初上陸を果たしたモデル。数多とある356スピードスターレプリカの中でも、シャーシに鋼管チューブラーフレームを採用しダイレクトで剛性感のあるドライブフィールを楽しめる他、クーラーが装着されている等、クラシカルなスタイルと雰囲気のまま快適にドライブを楽しめる魅力が詰まった一台となっている。直近でも、レース仕様にモディファイしたBECK GTSを駆り、富士スピードウェイで行われたイベントレースで1分56秒台を記録した代表の吉村氏。今回のオートモビルカウンシルへ参加するにあたって、自身が経験してきた自動車文化を若い世代にも伝えていきたいという想いを語っていただいた。

BECK JAPAN
URL: http://beckjapan.jp/


 

RANGERS

東京都目黒区に店舗を構えるランドローバースペシャリスト〝RANGERS〟取り扱い車種は、クラシックレンジローバーから現行モデルまで、ランドローバー全般。高級SUVの祖とも言えレンジローバーも、1970年の1stモデルデビューから半世紀が経過するヘリテージカーのため、乗り出し時のコンディションが後の維持費に大きく影響してしまいがち。こうしたランドローバーならではの課題に対してレンジャースでは、一律の納車整備・法定点検だけではなく専門店だからこそ可能なウィークなポイントへのアプローチや、内外装のリフレッシュやカスタマイズなども合わせてパッケージングされた独自の販売プラン「ビスポークプラン」を提案する。プランはRank AからFの六段階に分かれており、個々のコンディションが異なる中古車に対する正確な見極めのもと、安心できるクオリティまで確実に仕上げてくれ、「ボディーカラーを変えたい、レザーの質感を変えたい、ウッドパネルの木目を変えたい…」といった十人十色のこだわりを、対話を通じて仕立てていく事を得意としている。

今回のオートモビルカウンシルでは、RANGERSプロデュースのビスポークプラン(Rank A⇒Fまで存在)の内、最上級となるBESPOKE〝 Fプラン〟における、一つの完成形を体現した一台が展示された。現行ランドローバーの純正カラーである「ロワールブルー」を基調として仕立てられた一台は、外装・室内カーペットやトランク内張りに至るまで色味が統一されているほか、メッキバンパーなど各所のリファインと最新のパーツを組み合わせる事によって、ファーストレンジローバーとは思えないモダナイズが行われている。そして最もオリジナリティが溢れるポイントが、ウッドパネルに用いられた天然の相が絶妙に楽しめるという〝スモークオーク〟と呼ばれる天然木と、ドアの内張り・天井に贅沢に用いられた100年の歴史を持つ英国伝統の〝Harris Tweed〟製の生地。こういった強いこだわりを落とし込むのはお手の物だが、塗装色・生地・皮のこだわりを、外装・内装に対して俯瞰的に組み合わせてデザインする事が最も重要だという。もちろん、内外装のカスタマイズだけではなく、ビスポークプランによってヘッドライトや現行エアコンガスへの換装など、現代でも安心して乗れるためのアップデートが随所に行われ、RANGERSならではの仕上げを体感することが出来る。


 

プラネックスカーズ

ヘリテージポルシェをはじめとして様々なインポートカーや、国産のヘリテージカーももちろん、ロータス・マーチなどのフォーミュラーカーまでさまざまなジャンルのプレミアムカーを幅広く取り扱う〝PLANEX CARS (プラネックスカーズ)〟昨年のオートモビルカウンシルでは生活に寄り添って、気兼ねなく楽しめるクルマの提案として〝HONDA バモス〟という好車家も驚きの展示を行うなど、毎年ポルシェを中心として、貴重なプレミアムカーが集うプラネックスカーズのブース。今回のオートモビルカウンシルには、国産旧車界のアイドル的存在である〝1970年式 NISSAN Fairlady Z432〟に加えて、豊富なコレクションの中から”大人が乗れないプレミアムカー”として遊び心溢れる一台が展示された。

鮮やかなレモンイエローが、ひと際目を引くニッサン・フェアレディZは、S30系Zにおける3つのグレードの内、最上級に位置するグレードであるZ432である。色気のある一台、として今回のオートモビルカウンシルに持ち込まれたこのZ432は、プラネックスカーズ秘蔵のジャパニーズ・クラシック・コレクションの一台。ホワイトボディの状態に戻し、内装・外装、機関のすべてに至るまで徹底的にレストアを行われた、まさに新車のような1台である。1969年に発売されたZ432は、排ガス規制などの諸問題を受け1973年に製造を終了し、僅か419台の製造に留まった貴重なモデルという事もあって、会場中の熱視線を集めていた。あわせて会場で多くの注目を集めたのが、ピッコロ・フェラーリとも言うべき、330P2ジュニア。フランスのDe la chapelleによって1987年から製造された、キッズカーと呼ばれるエンジンカーである。子供向けだからと言って侮るなかれ、シャシーはチューブラーフレーム、エンジンはホンダ製144cc 4ストロークOHVを搭載し、日本の公道こそ走行は不可能であるが、ル・マン・クラシックでのジュニアカーレース「リトル・ビッグ・マン」等に参戦が可能。もちろんクルマ全体が綺麗にレストアを行われ、動態保存がされている。現在もこうした一風変わったコレクターズアイテムから、スペシャリティーカー、昨年展示されたホンダ・バモスの様な遊び心溢れるクルマまで、幅広くラインナップされているプラネックスカーズ。ラインナップに偏りを持たず、分け隔てなく取り扱う事によって、様々な人に楽しんで貰えるお店にしていきたいという想いも語っていただいた。

PLANEX CARS (プラネックスカーズ)
URL: https://www.planexcars.jp/


 

-David Brown Automotive- ホワイトハウス

クラシカルなミニのルックスはそのままに、最新の装備を備えて現代版として仕立て上げられたDavid Brown MINI REMASTEREDを取り扱う〝WHITE HOUSE(ホワイトハウス)〟輸入車を取り扱って41年のホワイトハウスが、イギリスのデビッドブラウンオートモーティブとパートナーシップを結び、昨年のオートモビルカウンシル2020の会場で日本初公開となったのが、このDavid Brown MINI REMASTEREDだ。昔ながらのデザインのまま、現在を楽しむというコンセプトの下、デザインはそのままに現在の交通事情に適した快適装備を追加し、自分好みにオーダーメイドを行えるというプランである。オリジナルのクラシックミニをベースに、エンジンはフルO/Hの上、ほとんどのパーツが新品となるだけは留まらず、チューニングによって30%の馬力upも図られている。徹底的なレストアを受けるボディも、パネル・フレームや接合部に至るまで一新する事で剛性、遮音性も飛躍的に向上。職人の手作業の積み重ねによって仕上がるこの究極の一台は、完成まで1400時間が費やされるとのこと。通常のクラシックカーにおけるレストアは、昔のオリジナルの状態に戻していく作業の事を指すのに対し、このミニ リマスタードはボディ・エンジン・パワステ等「現代で楽しむために必要不可欠な要素」を与えカスタマイズを行うという、スペシャルなアプローチで仕立てられていく。

昨年の初披露では、David Brownの真骨頂であるビスポークスタイルを体現した、ジュネ―ブショーに出展されたマットなホワイトと、光沢のある鮮やかなブルーの軽やかなツートンが特徴の「Day Tripper」が展示されたが、今回展示されたミニ・リマスタードは、最上級モデルとなる〝Mini Remastered Monte Carlo エディション〟である。印象的なラスカスレッドとアイスホワイトのツートンカラーでペイントされたボディに、パフォーマンスキットを装着した1330cccの4気筒エンジンを搭載し、83hpを発生するホットなモデルとなっていて、25台限定で販売が行われる予定である。今回は、インテリアのカラー・マテリアルサンプルが展示され、カラー・質感・模様等、エクステリアとの組み合わせは無限となっている。そして、ビスポークで組み合わせたイメージを、英国本国でレンダリングシートに落とし込んで数日で手元に届けられるオーダーメイドのプレビューサービスと同時に、オーナー専用のポータブルサイトがオープンされる事がアナウンスされた。オプションで、納車時にその個体のビルドブックを贈られるサービスや、自身がデザインした個体のポスターを製作してもらえるサービスも開始。「ビスポークスタイル」と呼ばれる、フルオーダーメイドで、細部に渡ってオーナーの希望通りに仕立てていく事から、納車までは約1年の歳月を要するため、待ち焦がれるオーナー心をくすぐるサービスになるだろう。日本の自動車文化の発展に危機感を覚え、クルマ好きの輪を広げることを目的としたCars&Coffeeの定期開催を行ったり、学生フォーミュラなどの支援活動も行っているホワイトハウス。〝クラシックカーはおじさんのもの〟では無く、永く愛せるクルマを見つけ若いオーナーや女性にも自動車文化を楽しんで欲しいという想いも語って頂いた。

-David Brown Automotive- ホワイトハウス(デビッドブラウン オートモーティブ)
URL: https://www.whitehouse.co.jp/mini-remastered/


 

photograph: Ryousuke Doi
edit & interview: Chihiro Watanabe