1965 Alfa Romeo Giulia TZ

爆発的ヒット作、初代ジュリアシリーズの頂点に位置するレーシング ・ スポーツ。展示車(シャシーナンバー #95) は 1965 年トリノショーに展示されたクルマそのもの。ちなみにこの年はピニンファリーナのジュリア 1600 スポルト、 ランチア ・ フルヴィア ・ スポルト ・ ザガート等、美しいスポーツカーが数多くショースタンドを飾った。当時のボディカラーは白。なおかつギアボックスが備わらない状態だったが、 その後ドライブトレーンが装着され、 ボディを赤にリペイント。なおかつ未走行のままエンジンをオイル漬けにした状態でずっと保管されていた。
その個体を 1972 年に現オーナーが入手した。以来一度も走行していない事実上新車の状態に保たれた世界で唯一、奇跡の 1 台といえるのがこのTZである。

ちなみにTZとはTubolare Zagatoの略。すなわち鋼管スペースフレームのシャシーに、軽量かつエアロダイナミクスに優れたカロッツェリア ・ ザガートのアルミボディを被せたことに由来する。ボディ後端をスパッと切落とした ‘‘ コーダ ・ トロンガ’ デザインはザガートが先鞭をつけた。



1961 Mercedes-Benz 220Eb

1961 年型。近年再評価されているフランス人デザイナー、ポール・ブラックがデザインした縦目メルセデス。 セダンがテールフィンを持つのに対し、 クーペとカブリオレはそれが備わらない。メータナセル、 ドア ・ ガーニッシュ等に無垢の削り出しローズウッドを用いる等、 ジャーマン ・ クラフツマンシップとエレガンスの極みともいえる 1 台。

2.2 リッター直列 6 気筒エンジンには機械式インジェクションが備わる等設計も進歩的だ。展示車はハネムーンでプロヴァンスを訪れたアメリカ人夫婦が現地で購入し、母国に持ち帰って大切に乗っていたヨーロッパ仕様。 それを見染めた現オーナーが入手、輸入した。 その後日本一の板金塗装技術を誇るわたびき自動車工業(株)で徹底的に仕上げた。

機関部は長野県佐久のカークラフトが入念に作業を終えた。

220SE セダンはモンテカルロ ・ ラリー等モータースポーツにも積極参戦し、特にタフネスさが要求される長距離ラリーを得意とした。 1962 年 8 月に開催されたリエージュ~ソフィア~リエージュ ・ ロードマラソンでは重要な 1 勝を挙げている。



1963 Chevrolet Corvair Monza

ポルシェ911より3年も早く空冷フラットシックスをリアに積み、マスタングより早く ‘‘ポニーカー’’に先鞭をつけたアメリカ の革新的コンパクトカー。年間20万台以上を販売する大ヒット作となった。実際フォードがマスタング開発に踏み切った理由は、このコーヴェアの成功がきっかけになったといわれている。

つまり今振り返ればあらゆる意味で先駆的役割を果たしたマイルストーンだった。日野コンテッサ、ヒルマン ・ インプ、プリンス・グロリア等、外観デザインでも世界のメーカーに大きな影響を与えた。展示車のモンザは63年型。コーヴェア ・ シリーズにラインナップされた2ドアクーペである。

総じて自動車を大切にするオランダに棲息していたからこそ良好なコンディションで生き延びることができた1台。

アメリカ国内にとどまっていたら、アフォーダブルなモデルゆえスクラップにされる可能性が高かった。

内外装はメルセデス220SEbと同じわたびき自動車、メカニカル部分は東京都世田谷区の(有)スーパークラフトが担当し、完璧なレストアを終えたばかり。赤のインテリアは当時最先端だったビニール製。レザーより高価だった。