「憧れの車買いたいから頑張ろうって…古い人間ですから(笑)」
高級レザーブランド〈フェリージ〉の元オーナー兼デザイナーを務めていた佐藤さん。「もう人生そのものだよ」という程クラシックカーを愛して止まない。今回はカーレース、ミッレ ミリア(イタリア)の話から、デザイナーとしての仕事の話、ミニカーに至るまでそのライフスタイルに迫ります。
佐藤さんはイタリアのクラシックカーレース「ミッレ ミリア」に出場されています。まずどういうレースですか?
佐藤さん(以下S)「ブレシアっていう、ミラノから1時間くらいの都市から出発し、ローマまで行って、またブレシアまで戻るレースです。どういうルートで行くかが都度変わっていくもの。これまでこのレースは5回ほど出場しています。昨年はイタリアの小さい車メーカーが作った『ヴァンディーニ』って世界で48 台しか作っていなくて、しかもこのモデルは5台しかないっていう愛車で挑みました。僕が運転して奥さんがナビ。4日間かけて走ります」
4日間、夜も走るんですか?
S「はい。ホテルに着くのが朝の3時ってこともあるし。しかもホテルに辿りつけないってこともある。ヘビーだよ、全然エレガントとかじゃない」
どのくらいの車がレースに参加しているんですか?
S「世界中から集まって450台くらいかな。日本からはこれまで5台くらいだったんだけど昨年から15台に増えました」
2017年での思い出はありますか?
S「ローマで大雨に降られて、もう大変だった。ローマのど真ん中で集中豪雨にあって、車の床上まで浸水しちゃって。世界的な異常気象が原因だね。だから去年はリタイア組は多かった。先頭の方を走っていた車は雨に降られず大丈夫だったみたいだけど」
このタブロイド誌は何でしょうか?
S「これは前にレースに参加した時に僕の車が表紙になったもの。カメラマンたちが作っている冊子みたいでミッレ ミリアに参加した車が中心になっています」
愛車が表紙とはすごいですね!
S「フィアット8Vザ・ガートです。この車もヒストリーがあってね、世界に一台しかないもの。プロトタイプだから。元々は、イタリアサッカーチーム、インテルの会長が個人で持っていたもの。だからチームの色のインテルカラーになっています。ボディーはブルーで下の方はブラックだね」
すごい…ではレースに参加する醍醐味は何でしょうか?
S「参加することによって、様々な国の人たちと親しくなったり、ちょっとしたコミュニティが作られたり、そういうのが楽しいです。趣味を共有できるので。やはりイタリア人が多いのですが世界レベルでそれができるのもいいですよね」
イタリアの街並みを走るのはどういう気分でしょうか?
S「やっぱり世界遺産の近いところを走るから気分的には高揚しますよね。あと、こういう車が400台も集まると壮観ですよ。そういうイベントってなかなかないですからね」
佐藤さんは元々高級レザーブランド〈フェリージ〉のオーナー&デザイナーをやっていらっしゃいました。現在は服のデザインをやられていらっしゃいます。
S「はい。〈ヴィンテージラヴァーズ〉ってブランド名でやっています。単純にヴィンテージカー乗った時に、一番絵になるような洋服が作れないかなっていうのが始まりです。2年くらい前からスタートしました。ウェア全般と小物雑貨とバッグ、一応レディースもあります」
クラシックな雰囲気ですね。
S「今までこういう服なかったんですよね。車用の洋服っていうといきなりちょっとハードなね、スポーツメーカーの洋服しかなかったんだけど、それをちょっとモダンにした感じの洋服です」
ヘリテージカーに乗る時に便利なディテールなども?
S「雨が入らないようにポケットを工夫したり、例えばこのジャケットなんかも背中にクリップがついていて、帽子が飛ばないようになっていたり。オープンカーやラリーでよくキャップ被るんですけど、飛んでしまって危ないので。乗っているからわかる欲しかった機能性をほどこしています」
ヴィンテージラバーズの詳細はこちら
URL: http://vintagelovers.jp/
ミニカーもお好きなんですか?
S「そうだね。自分が乗っているものや憧れの車を常にネットで探して、見つかったら買っています。なかなか無いんだよね、今。昔から、本物の車で憧れのものがあったらミニカーを手に入れて眺めています。欲しいなあって(笑)。でも、実際集め始めると独特の気分はありますよね。段々集まってくると並べたりとか、今は自分でキットを作ってるんですよ。プラモデルで、こういうセットがあるんだけど、こうして組み立てをやり始めていて。これが結構難しくて…特に塗装が。今の楽しみっていったら、暇な時にプラモデルを作ることかな(笑)」
お部屋には沢山の絵や写真がありますね?
S「部屋の左側のは50年代の当時のフェラーリの写真だね。元々僕は絵描きだったんだよね。いくつかは自分で描いたものです。小さい頃から描いていて。でも絵描きだと生活できないし…車も買えないし(笑)。クラシックカー買いたいから仕事頑張っていこうとこれまでやってきました…古い人間ですからね(笑)」
Photograph:Taku Amano
Edit & Interview:TUNA
Text:Hina