1969 コルトギャラン

アポロ11号が人類初の月面着陸に成功したのと同じ年、デビューしたのがこのギャランだ。なにより特徴的だったのは若き日のジウジアーロが携わったといわれるスタイリング。質実剛健だった三菱のデザインを一挙にモダナイズ。均整のとれたプロポーションを実現し、当時まだ日本車で珍しかった角形ヘドライトを採用する等、スタイリッシュに生まれ変わった。直列4気筒エンジンは同社初のSOHC。1.3ℓと1.5ℓの2本立てでスタートした。翌70年には2ドア・ハードトップを追加。垢抜けたスタイリングと活発なエンジン、安定した操縦性によって大人気を博した。



1965 コンパーノ スパイダー

ダイハツが乗用車部門への参入を目指し、1963年から生産を開始したのがコンパーノだ。イタリア語で「仲間」を意味するモデル名を採用したのはデザインをイタリアのカロッツェリア・ヴィニャーレに依頼したからだろうか。まずワゴン/バンを投入し、その後64年2月にベルリーナを、65年には排気量を797ccから958ccに拡大した2ドア・オープン4座のスパイダーを追加した。62年デビューのパブリカ・コンバーティブルと並び、日本にアフォーダブルなオープンカーの選択肢をもたらした双璧の1台。小粋なスタイリングは今見ても愛くるしいエヴァーグリーンな魅力を誇る。現在も人気のリトラクタブル・ハードトップの軽オープン、コペンの祖ともいえる存在である。



1966 いすゞ ベレット1500オートマチック

旧態依然とした設計だった60年代初頭の日本車の中にあって、先進的な設計とデザインで気を吐いたのがベレットだ。オーバルラインと称されたヨーロッパ風スタリング、セパレート・シート、4段フロアシフト、国産同クラスでは初となる4輪独立懸架といったスペックは欧州車に見劣りしないもので、日本のスポーツサルーンの歴史はこのベレットから始まったといっても過言ではない。展示車両は珍しいボルグワーナー製3AT仕様。ランニング・コンディションにあるのはこの1台だけという希少性の高さを持つ。ヒルマン・ミンクスのKD生産で自動車生産の基礎を学んだいすゞが、いかにヨーロッパ志向が強かったがベレットを見るとよくわかる。



1967 日野 コンテッサ 1300 クーペ

コンテッサ900を全面に渡り発展させたコンテッサ1300が生まれたのは1964年9月。翌65年4月に追加されたのが流麗なロングテール・ボディが与えられた2ドアクーペだった。デザインを担当したのは天才ジョヴァンニ・ミケロッティ。“伯爵夫人”の名に相応しい気品あるスタイリングと裏腹に、1.3ℓOHVでありながらツインキャブを備え、65psの最高出力を実現。4段フロア式MTによって145km/hという最高速を獲得する等、高性能を両立していた。フロントにディスクブレーキを装着、ラック&ピニオンのステアリングを採用していたことも先進的だった。日野自動車が1967年をもって乗用車生産から撤退したことが残念でならない。