’90 Mercedes-Benz 190E 2.5-16 Evo.II AMG

ラグジュアリーかつ権威的なイメージを払拭し、メルセデス・ベンツに若々しくスポーティーなイメージを植えつけるべく開発されたのがこのマシーン。4気筒2.5ℓエンジンを開発したのは英国の有名レーシングエンジン・コンストラクターのコスワース。しかし宿敵BMW M3を打ち破るために、何より特徴的だったのは大胆なエアロキットを採用したことだ。極端に低いエアダム、ティアドロップ形状のオーバーフェンダー、高く聳えたリアウイング等は、500台が生産されたロードゴーイングカーにも標準装備された。90年からDTMに参戦開始、91年こそアウディに敗れたが、92年にドライバーズ・タイトルのワンツースリーを独占するという快挙を果たした。




’87 BMW M3

DTMの前身であるDRMの時代からBMWはドイツ・ツーリングカーレース、そしてヨーロッパ・ツーリングカー 選手権の代表選手だった。流麗な3.0CSLがサーキットで華々しい活躍をする写真に胸を焦がしたファンも多 いだろう。しかし87年DTMに参戦開始したM3は、バイエルンの象徴とも言えるストレート6ではなく4気筒2.3ℓユニットを搭載していた。クランクシャフト長が短い直4の方が、高回転/高出力を期待できたからだ。名将パウル・ロシェのこの目論みは見事に当たる。デビューイヤーにして全10戦中5勝という圧倒的な勝率を誇り、シリーズチャンピオンの奪取に成功。88年、89年とシリーズ3連覇を果たすほど、当時無敵の戦闘力を誇った。




’93 Alfa Romeo 155 V6 TI

ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)にイタリアから送り込まれた刺客がアルファ・ロメオ155V6 TIだ。車両レギュレーションがより大きな改造を認める93年シーズンから参戦を開始。エンジンは高度なチューンが施されたV6 2.5ℓ。アバルトがWRC仕様のランチア・デルタ・インテグラーレ用に開発したフルタイム4WDと組み合わせたモンスターだった。ドライバーの布陣もニコラ・ラリーニ、アレッサンドロ・ナニーニといった元F1スターたち。チーム監督も元ランチア・ワークスドライバーというその陣容からもわかるように、まさにイタリアン・オールスターチームを乗せた黒船が来襲したかのよう。デビューイヤーで22戦中13勝を記録。うち11勝を挙げて別格の強さを見せつけたラリーニがチャンピオンの座についたチャンピオンマシンが、今回の展示車だ。