ポルシェ911 ‘1966

ポルシェ初の生産車である356の後継モデルとして 1963年フランクフルトショーでデビュー、翌64年から本格的に生産が始まったのが現在に至るまでスポーツカーのアイコンとして孤高の存在感を誇る911である。今回の展示車はごく初期の66年型。SやT等バリエーションが加わる以前、シングルグレードだった時代のモデルである。2lSOHCフラットシックスが発するパワーは130ps。しかしカミソリのように鋭いレスポンスと、1080kgに過ぎない車重との相乗効果で第一級のスポーツカーとして911神話の序章を開けたのだった。

ポルシェ911カレラRS2.7

ナローポルシェの掉尾を飾ったのが70年代中盤のGTレース用に開発された“ナナサンカレラ”である。ダッグテールのスポイラー、ワイドなリアタイヤをクリアするための明確なオーバーフェンダーが特徴的。2.7lまで拡大された空冷フラットシックスのパワーは210psにまで増強されている。それでいて車重は1090kgに留まっているから、その高性能ぶりは推して知るべし。ナローポルシェ随一の戦闘的モデル。ロードゴーイングレーサーとして高い実力と人気を誇る。

ポルシェ959

80年代半ば、当時考えられる最新技術すべてをつぎ込んで開発したテクノロジーのショーケースが959だった。2.9lまで拡大されたフラットシックスはDOHC化され、最大出力は450psに到達。このパワーをフルに引き出すために電子制御トルクスプリットのフルタイム4WDシステムも採用されている。いわばハイテクモンスター。フェラーリ288GTO同様グループB参戦を目指したモデルだが、「危険すぎる」という理由からカテゴリーが消滅し、パリダカやルマン24時間に舞台を替え活躍した。

ポルシェ・カレラGT

911の文脈からは外れるが、ルマン24時間レースの主役がGTからレーシングスポーツへ移行することを見据え、ポルシェが次期FXとして開発したことから、今回展示ラインナップに加えることにしたのがカレラGTだ。同時期のフェラーリ・エンツォ同様タブもアウターパネルもカーボンファイバー製。インボード・サスペンション含め、そのシャシーはstate of artと呼びたくなるほど美しい。612psを絞り出すミドシップV10は快音を発することでも有名。ギアボックスは6段MTのみで、発進時のクラッチワークが非常に難しいとされた。