スピニングガレージ

初年度からの連続出展で、オートモビルカウンシルには欠かせない存在といえるフォルクスワーゲン・ゴルフⅡ専門店、〝スピニングガレージ〟。洗練された素朴なデザインが幅広い層に支持され、ゴルフⅡは今やヤングタイマー・ネオクラシックといったジャンルの代名詞。大衆車であった事もあり世界はもちろん、日本でも大ブレイクを果たし、現在でも根強いファンが多く存在する人気のゴルフⅡも、1984年の日本発売から30年以上経過し、状態を問わず着実に現存数は減ってきているという。「一台でも多く、ゴルフⅡを残したい」という想いから、仕入れ車両もあえて状態の良し悪しを絶対の基準とせず、どんな状態でもお客さんの要望に沿ってじっくり向き合ってくれる、ヘリテージカービギナーにも安心なショップだ。

今回のオートモビルカウンシルでは、ホットハッチバックの礎とも言えるGTIをはじめ、GTスペシャル、カントリー、カブリオレとバラエティ豊かな4台のフォルクスワーゲン・GOLFⅡが登場。上品なワインレッドが特徴の〝1992年式 VolksWagen GOLF カブリオ クラシックライン〟は、なんと2ケタナンバーの個体で、新車時から大切に乗り継がれてきた個体だ。コンディションはスピニングガレージのお墨付きで、ルーフが無い分の強度不足を補うためにフロアが二重構造になっているカブリオモデルのドライブフィールは、見かけとは裏腹に安定感抜群なのだとか。 ゴルフがハッチバックの元祖であれば、SUVの源流とも言えるモデルであるゴルフカントリー。大衆的なCセグメントの代表格であったゴルフにオーバーフェンダー、アニマルガード、リアにスぺアタイヤを背負って四輪駆動化が行われたゴルフカントリーは、走行3万キロ台の極上車。ボディ下から覗くと、ラダーフレームの上にボディが架装されており、通常のゴルフⅡ(画像右下)と比べるとカントリー(画像左下)はエンジン搭載位置も低く、悪路走破性と安定性に貢献している。この個体のトリップメーターは20万kmに達しようとしているが、長年のメインテナンスのかいもあって機関系は万全。こうした良好な車に出逢える機会も減りゆく一方で、程度の良い個体はいよいよ新車価格を超えつつあり、現在の相場は10年前と比較しても倍以上に高騰している。スピニングガレージでは、極上車を求める好車家からヘリテージカーを始めたいビギナーまで幅広く、それぞれの人にあったゴルフⅡを提案し続けていきたいとのこと。

スピニングガレージ
URL: https://spinninggarage.com/


 

AC MINDS

ライトウエイトスポーツの申し子、アレック・イシゴニス、コーリンチャップマンの両人の頭文字を取り、ライトウエイトスポーツの楽しさを広めるべく愛知県岡崎市に店舗を構える〝AC MINDS(エーシーマインズ)〟。ロータスのヘリテージはもちろんのこと、ケータハム(スーパーセブン)、モーガン、ロータス、BMC MONOのディーラーとしての顔を持つ、英国ライトウエイトスポーツの老舗である。積極的に海外から良質な個体をインポートしており、高いコンディションのブリティッシュ・ヘリテージを扱い続けている。またコロナ禍でオンラインショッピング〝AC MINDS AUTOJUMBLE〟が大盛況。日常に嬉しいアイテムや、デッドストックのパーツ類まで各種取り揃えられている。

今回のオートモビルカウンシルでは、二台の新旧ブリティッシュスポーツが共演。2017年式のMogan AERO 8は、2000年代にモーガンによって送り出された最も伝統的で、現代的なスポーツカーである。クラシカルな見た目はそのままにBMW製のV8ユニットを搭載し、各所に近代的なコンポーネントを備える傍ら、シャーシは木製採用する点は伝統に則ったもの。2000年に生産が開始されたモーガン8はシリーズ1から始まり、2016~2018年に製造されたシリーズ5までが存在している。2017年式の最終型である今回の個体は、オーナーの強い希望で英国にあった最後の一台をAC MINDSによって輸入した物。トリップメーターは僅か1000km程しか進んでおらず、大事に保管をされていた珠玉の一台だ。 1965年式のAston Martin DB5は、もはや説明不要の一台。映画「007」シリーズ最新作にも登場したボンドカーと同様のシルバーメタリックのボディーカラーを纏った一台は、日本で大掛かりなオーバーホールを施されており、純正SUキャブレターから出力向上のためトリプルキャブレターへの換装や、クーラーの装着など日本でも快適にクルージングを楽しめる仕様になっている。昨今のヘリテージカーブームに漏れず、英国ヘリテージも人気上昇。日本市場はとにかく個体が足りない状態が続いている。日本市場にこだわらず、英国の高いクラフトマンシップによるレストアを受けた個体など、視野を広く車両を探すのがベターな選択となりそうだ。

AC MINDS
URL: http://ac-minds.com/


 

原工房

東京都江戸川区に店舗を構え、そのアットホームな雰囲気でオートモビルカウンシルでもお馴染みの存在となっている〝原工房〟。プジョーを代表として、シトロエン・DS・ルノーとフランス車全般を取り扱い、車検・修理・整備全般を手掛けている。代表の原 誠二社長は、プジョー日本正規導入以前から半世紀近くプジョーに情熱を注ぎ、プジョーメカニックの頂点を目指し続けてきた生粋の自動車職人。その姿はヘリテージカー販売店というよりは、修理屋という言葉が当てはまる。2人のベテランメカニックを抱え、その整備に対する厚い信頼から、メーカー広報車の整備を担当し、全国の正規ディーラーのヘルプ対応や技術支援を任されるなど、プジョージャポンにとっても頼れる存在となっている。しかし職人特有の鋭い眼光裏腹に、絆を大切にする心優しい人柄を持つ原社長の下に訪れる人は後を絶たず、まさしく「困った時の駆け込み寺」としてフランス車フリークに愛されている。プジョーヘリテージ事情としては、日本での歴史がまだまだ浅い事もあり、プジョー205など人気のあるモデルは市場に出る前に売れてしまう事もしばしば。そんな中でも若い方が店を訪れる事も多く、徐々にブランドイメージが変わりつつある印象もあるのだとか。 今年度も、原社長がかわいらしいパッケージデザインに一目惚れしたという、フランス製オイルメーカー〝Unil Opal (ユニル オパール)〟と共同出展。ユニルオパール製オイルは、ほとんどの製品が各欧州自動車メーカーやACEA規格の承認を取得しており、「高い信頼性」を持つ事で認知されている。ラインナップはクリーンディーゼルを始めとして、幅広い実用車に最適なオイルが用意され、フランス国内ではエンジンオイルのシェアNo.1。創業より60年余りの歴史を持つ、信頼の老舗オイルメーカーである。

そんな原工房によるチョイスは、〝1991年式 Peugeot 205 CTI〟〝1999年式Peugeot 306 Style〟の二台。205CTIは、プジョーの起死回生作であるコンパクトモデル「205」から派生したカブリオレモデルである。リアクオーターにしつらわれたバッヂは、デザインや車体設計・架装に至るまでピニンファリーナが担当した証。元来秀逸だった205のデザインを活かしつつポップなキャラクターになった205CTIは、当時のメディアや女性受けも良好で、日本でのプジョーの認知度を高める一助を担ったのだとか。この個体は、1.9L/100psのエンジンに4ATの組み合わせという仕様で、再後期の120ps仕様に比べてエンジンの主張が控えめで、ある意味、205CTIにふさわしいキャラクターを楽しめる一台になっている。  1999年式 プジョー306 Styleは、1994年から販売開始したプジョー306のベースグレード。306が持つ魅力は、直線的で端正なスタイリング、大幅に向上した内外装の質感、取り回し良く過不足の無いサイズ感、低回転から程よいパワー/トルクを発揮するエンジン、独特の乗り心地とハンドリング等々。本国仕様の乗り味に近いベースグレードのStyleは、306が持つ本来の味わいを存分に楽しめる一台だ。年式・車齢的にもトラブルフリーではないものの、原工房にはトラブル事例・対策のノウハウが豊富に蓄積され、相応のメインテナンスを行う事で現代の交通事情でも快適に楽しむ事ができるという。


 

アウトニーズ

1998年創業、日本・京都に拠点を構えるフランス・シトロエン専門のスペシャルショップ〝Auto Needs(アウトニーズ)〟。1950-1970年代に製造されたDSをメインに、ヘリテージシトロエンから現在の新車まで取り扱う。国内は京都、国外はオランダに加えて新規にドイツにも拠点を構える。ヨーロッパ各地からヘリテージシトロエンを探索し、オランダ・ドイツの自社拠点においてレストレーション工程の90%を実施し、残りの工程を京都のファクトリーにて仕上げる事で、40年以上のキャリアを持つ欧州のスペシャリスト達と日本式のきめ細かい技術を掛け合わせた高品質なレストレーションを提供している。 現在、アウトニーズでは通常のメンテナンスやレストレーション・販売に加えて、クラシックカーの保管代行と定期的なエンジン始動やメインテナンスを行う貸しガレージサービスや、シトロエンDSや2CVを貸し出し、古都京都のドライブを楽しむことが出来るレンタカーサービスも展開。「クラシック・シトロエンをもっと自由に楽しんでもらいたい」という想いのもと、シトロエンライフのコンシェルジュとして顧客の趣味趣向・ライフスタイルにマッチしたあらゆるサービスを提供している。

会場では、ドイツのコレクターが所有していた〝1961年式 Citroen ID19〟の展示に加えて、2CVのレストレーション作業をメカニックが実演。3日間の会期のうちに、エンジン・ブレーキ・ミッション・足回りのオーバーホールに加えて、ゴム類や外装パーツの交換・ハーネスの製作等、アウトニーズのファクトリーが再現されたブースにて、あらゆるレストレーション作業の実演が行われた。簡素な造りになっていると2CVと言えども、経年と共に適切なメインテナンスが必要になっている。いかなる車種においても共通で、「ヘリテージ車両を現代に復元するレストレーション作業にごまかしが効かない」という事実を、こうしたレストレーション実演を通じて正直に曝け出す事で、アウトニーズ、ひいてはヘリテージカーへの理解を更に深めて欲しいという想いが秘められている。また今回のオートモビルカウンシルでローンチとなったのが、海外のスペシャリストとの提携によりお届けするオーダーメイドのDSオーダープログラム「Build Your Dream DS」。日本のヘリテージシトロエンのプロフェッショナルが、欧州のスペシャリスト達とマージして可能となった高品質なレストレーションによって、世界に一つだけのDSを提供する。ボディタイプ/カラー/フロントマスク、インテリアデザイン/マテリアル/メーターパネル、エンジン排気量/燃料噴射方式/ミッション形式…あらゆる項目において、自身のこだわりをオーダー可能。オリジナルにこだわりながらエアコン・オーディオシステム・シートヒーターといった快適装備も追加可能なのはDSが発売された当時の輝きはそのままに、現代に適応したより快適な車内空間を提供したいというテーマから。50年前に生まれた唯一無二の名車DSを、現代的解釈を加えて蘇らせる創意あふれたサービスとなっている。

アウトニーズ
URL: https://www.auto-needs.com/


 

セイコー自動車

〝セイコー自動車〟は、マツダNA/NBロードスターのレストアとメインテナンスを 専門に手がける「ロードスター再生ファクトリー」だ。1969年にロードスターの故郷、広島にて創業。以降、数々の車両の板金塗装や1000台を超すロードスターの修理を手掛け、2020年8月に「ロードスターという名車を、後世に残していこう」という想いの下、マツダ・初代NAロードスター/二代目NBロードスターを専門としてレストアプロジェクトを発足。鈑金ハンマーをシンボルマークに据えているのも、原点を大切にする気持ちと、技術にこだわり続けるという自負の表れで、車両の状態・オーナーの希望に合わせて細かくレストア計画を選定、隅々まで分解・チェックを行った上で必要に応じてホワイトボディの状態にした上でフレーム修正機・板金溶接を行い、ボディをフレームから蘇らせる事が可能となっている。

ボディ半分が鉄板剥き出しとなっている一台は、レストアの工程を可視化するために半仕上げとした1台。ロードスターの弱点とも言えるリアクオーターパネル、とても錆び易いだけでなく、錆びの進行が裏のサイドシルまで進行する事もしばしばなんだとか。セイコー自動車では、このボディ外装も、長年の板金技術の蓄積から平の鉄板から叩き出しての製作が可能。そうして細部まで突き詰めてレストアを施され、完成した状態で展示されたのがホワイトの1台だ。こだわりは「見えない所こそ、とことん」。ボディをホワイトボディにした状態で修正、寸法計測までを行い、アンダーボディー、ボディのシーリングも全て打ち直すこだわりよう。ロードスターの特徴でもあり、再現が難しいとされるサイドの梨地部分の塗装も完璧に復元されていたのも、熟年の職人による手仕事が成せる芸当。もちろん機関系のオーバーホールや、内装の張替えも必要に応じて行われており、セイコー自動車の技術力の結晶とも言える1台に仕上がっている。代表の清金(きよかね)氏は、「修理と共に価値が下がるのではなく、修理と共に価値が上がるといった、良いものを長く使い続ける文化や、技・物・心を大切に修理に向き合う姿勢を次世代へ伝承していきたい」と語る。

セイコー自動車
URL: https://carseiko.co.jp/


 

CRANK TOKYO

「ヘリテージカーと共にある、豊かなライフスタイルを共有できる憩いの場を。」という想いから2019年に発足した〝CRANK TOKYO〟。ヘリテージカーをより楽しむためのソリューションとして、ヘリテージカーのマッチングサービスや、ヴィンテージ家具・ヨーロッパのオートモビリアなどのアイテムを提供している。CRANK TOKYOのヘリテージカーマッチングサービスというのは、一般的にイメージされる中古車販売とは少々異なる。オークションや仕入れを行う事を否とし、あくまでも個人のオーナーの元に大切にされていた、個体ごとのヒストリーがハッキリしているヘリテージカーを次の乗り手に紹介するという形。主としてヨーロッパをはじめとする国内外のヘリテージカーオーナーとのコネクションから、CRANK TOKYOの軸にマッチする車両をリストアップしていくスタイルだ。

そんなCRANK TOKYOからは、2台のイタリアン・ヘリテージカーが出展された。 最初にご紹介するのは、イタリアはヴェネト地方のコレクターから譲り受け、先月横浜港に到着したばかりの〝1974年式 AlfaRomeo Spider Sr.2〟アルファロメオの伝統的なオープンカーの中でも、ジュリアの名を持たず純粋にスパイダーとして送り出されたモデルの二代目にあたるモデルだ。ネッロのボディにベージュの内装を持つこの個体は、イタリア本国で販売された1600ccのエンジンを搭載する。軽量のボディに小気味の良いエンジンの組み合わせはスパイダーらしさを楽しむのに持ってこいだ。2台目は、ロッソウィナーメタルとポルトローナ・フラウ製のキャメルレザーの仕立てが目を惹く〝1988年式 LANCIA THEMA 8.32〟ランチアの高級セダンとして、ピニンファリーナデザインのボディをまとって登場したランチアテーマ。そのセダンに、フェラーリ308用V8ユニットを搭載した、まさしく時代が生み出したフラッグシップとなる車両だ。

CRANK TOKYO
URL: https://crank-tokyo.jp/


 

photograph: Ryousuke Doi
edit & interview: Chihiro Watanabe

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アウトニーズ

  • 住 所:〒612-0833 京都市伏見区深草大亀谷岩山町185-1
  • 電 話:075-646-0213
  • FAX:075-646-0215
  • 定休日: 第1日曜日と月曜日
  • URL:http://www.auto-needs.com/