The Alvis Car Company

ALVISは1919年に英国コヴェントリーで創業。1967年に量産車の製造を停止して以降も現在に至るまで既存オーナーのために部品の製造とALVIS車の修復を手掛け、2017年に「コンティニュエーション・シリーズ」の限定生産を発表し量産車の生産を再開するなど、英国流の自動車文化を体現している。「コンティニュエーション・シリーズ」とは、過去のオリジナルのデザインを再現し、当時のシャシー・ナンバーとエンジン・ナンバーを現代に引き継いで生産される特別なモデル。ALVISは、1953年から1963年までは当時の明治産業の関連会社である明治モータースが輸入販売を行っていた。2018年に明治産業は創業85年の周年を機に再びALVISと総代理店契約を締結、日本での輸入販売と保守業務を展開することとなり、今回は日本初公開となる3リッター・コンティニュエーション・シリーズとして最初の生産車両となる「グラバー・スーパー・クーペ」を含む6台が出展された。

コンティニュエーション・シリーズでは、日本初公開となる、「アルヴィス・3リッター・グラバー・スーパー・クーペ」はALVIS社として最初の3リッター・コンティニュエーション生産車両であり、2020年に発表した4.3リッター・コンティニュエーション・シリーズ「ヴァンデン・プラ・ツアラー」同様に公道走行可能なモデルとなる。スイスのコーチビルダー、グラバー社が架装したモデルはTA21~TF21で合計125台が存在。ALVISにとって最終モデルとなるTF21は全生産台数106台であり、グラバー社が架装したのはたった6台に留まるのだそう。コンティニュエーション・モデルとして生産される「アルヴィス・3リッター・グラバー・スーパー・クーペ」はALVIS社が所有する1966年式グラバー・スーパー・クーペから必要となる部分を3Dスキャニングしてデジタル・データ化する事によって当時と同様の工法で製造されている。TF21に架装したモデルであるため、希少なグラバーの架装モデルの中でも特に貴重なモデルとなっている。

The Alvis Car Company
URL: https://thealviscarcompany.jp/


 

ヴィンテージ宮田自動車

スカイライン・フェアレディZなど国産ヘリテージカーのスペシャリスト、〝ヴィンテージ宮田自動車〟。社長の宮田篤氏が1から作り上げたショップは、創業当初はスバル360などの軽自動車に始まり、国産旧車の整備・販売を手掛けて30年以上。現在では、5台分のピットと常時100台以上の在庫を取り揃え、レクサス・トヨタ・ニッサンを始めとする国産新車から外車までオールラウンドに取り扱っている。「いいクルマ選びは、良い店選びから」をモットーに、ユーザー寄り添い続けるクルマ好きには大変心強いショップだ。

今回のオートモビルカウンシルでは、北米の安全基準を適合せず1967年のみ僅かに生産された日産フェアレディ ローウインドウモデルや、程度極上のトヨタ スプリンタートレノ TE27、国産ヘリテージの代表格とも言えるトヨタ2000GTなど、素晴らしい状態に仕上げられた6台国産ヘリテージを代表する名車の数々が出展された。 ブースでひと際輝きを放っていたのが、フェアレディZシリーズの中でも伝説的な存在となっている〝1970年型 日産フェアレディZ432〟。究極のオリジナルを目指し、ボディは地金まで剥がして、純正カタログカラーであるサファリブラウンに再塗装。4バルブ・3キャブレター・2カムを由来とするZ432に搭載されるS20型エンジンも徹底的にレストレーションを行い、1年半の歳月をかけて製作された一台だ。 会場には、2016年に日本機械学会によって機械遺産として認定された〝スバル360〟それもごく初期のみに製造された出っ張ったヘッドライトが特徴的な「デメキン」の愛称を持つ貴重な2台が展示された。ブラウンの1台は、極初期のベーシックなモデルで国内に10台程しか無いだろうという貴重な1台。その隣のグリーンの個体は、コマーシャルと言う商用車モデルで、荷物の出し入れのためリアキャビン部分が全開にできる仕様になっており、これも日本に3台程しか現存しないという貴重なモデルだ。長年国産ヘリテージに携わり、日本の自動車文化を醸成していきたいというヴィンテージ宮田自動車の想いの下、この2台は海外流出を防ぐために国内専売となっている。

ヴィンテージ宮田自動車
URL: http://www.japan-vintage.com/


 

Boutsen Classic / Croco Auto / Auto Roman

群馬県に位置するヘリテージカーの聖地〝Auto Roman(オートロマン)〟。トヨタ2000GTのレストレーションや、フェラーリ308 Gr.4仕様製作を始めとするレストモッド製作から、あらゆるヘリテージカー・レーシングカーを手掛ける夢のようなファクトリーだ。今回は、Real Driveをコンセプトとした貴重なヘリテージカーの販売の他、ヨーロッパでのツーリングやサーキット走行、プライベートコレクションのアテンドなどを手掛ける〝Croco Auto〟と、オートモビルカウンシル初となる海外ディーラー〝Boutsen Classic〟と三社共同出展となった。

元F1ドライバー、通算3勝を挙げた実力派のティエリー・ブーツェンが、2018年にモナコに立ち上げた〝Boutsen Classic〟。F1ドライバー時代に築いた国際的な人脈と、その後のビジネスジェットの事業で培った成功と経験を基に、1950年代から1990年代までのヘリテージカーを世界中の顧客にデリバリーしている。会場にはF1界の皇帝ミハエル・シューマッハが1992年に初勝利を挙げたマシン〝Benetton 192〟や、1988年にナイジェル・マンセルがドライブして二度の表彰台を獲得した〝Williams FW12〟ベルトーネ時代のマルチェッロ・ガンディーニがデザインしたアルファロメオ屈指のイタリアン・グラントゥーリズモ〝アルファロメオ モントリオール〟などが展示された。


 

ガレーヂ伊太利屋

ヘリテージカー販売の老舗、〝ガレーヂ伊太利屋〟車両販売をはじめ、レストア及びメインテナンスのトータルサポートを提供し、現在イタリア車を中心に英・仏・独・米と国籍を問わず歴史に残る名車やヘリテージカーを取り扱っている。要望に沿ったレストア及びメインテナンスを提供するだけでなく、もともとパーツの販売も行っていたことから、世界各国にパーツや車両を買い付けにいく事もしばしば。現在は「ガレーヂ伊太利屋 クラシケ」トータル・コンシェルジュ・サービスも展開中で、1976年創立以来ヘリテージカーのスペシャリストとして蓄積されたナレッジを活用し、車種毎の細かなトラブル箇所・注意点などのポイントを伝えながら、購入や維持に至るまでサポートを行っている。本サービスでは国内に留まらず、世界中から意中のクルマを探す事ができるという。

今回のオートモビルカウンシルでは、Lancia・Fiat・Maseratiの3メーカーから珠玉のヘリテージカーが登場。落ち着いた濃紺のボディに、コノリーレザーとウッドトリムがしつらわれた品格あるビトゥルボの内装を持つ一台は〝1998年式 Maserati Ghibli〟最後期型となる1998年式で、2.8LV型6気筒にツインターボを武装したエンジンを4段ATで制御する仕様。走行僅か4万キロに満たないミントコンディションだ。隣の〝Lancia Delta Integrale〟は、ワールドラリーチャンピオンシップ2連覇を果たした元ランチアワークスドライバー、ミキ・ビアジオン氏が所有したヒストリーを持つ個体。ミキ・ビアジオン氏はプライベートでの使用から、ラリーイベントでもこのデルタを楽しんでいたという。もちろん、ミキ・ビアジオン氏のファクトリーにて丁寧なレストレーションが施されており、内外装共に質感が感じられる。 また、ガレーヂ伊太利屋では「RESCUE THE PANDA !」プロジェクトとして、日本の伝統工芸を軸とする京都発のクラフトマンシップブランド「KIWAKOTO」とコラボ。西陣織や蒔絵などの伝統工芸技術を自動車に落とし込むことを得意とするKIWAKOTOとのコラボレーションで、世界に一台、日本ならではのパンダを作り上げるパートナーを募集中。

ガレーヂ伊太利屋
URL: https://garage-italya.co.jp/


 

ガレージイガラシ

軽トラックから、ロールスロイスまで。年式・車種の一切を不問とし、軽度の日常的なメインテナンスから、内外装や機関のレストア・オーバーホール、またアップグレードまで幅広く手掛ける〝ガレージイガラシ〟。故障の際も、安直にパーツの交換を行うのではなく、徹底的に向き合う事で「修理」に拘るヘリテージカーオーナーには心強い存在だ。昭和58年創業の歴史を持つガレージイガラシでは、ヘリテージカーを扱うのに欠かせないメーカーごとの特殊工具やテスター、6台のピットと塗装ブースも備え、ヘリテージカーのあらゆる状況にも対応可能。豊富で確かな技術力で、愛車をベストコンディションに仕上げてくれる。

会場には1940年代から1950年代に登場した通好みのヘリテージカーが勢ぞろい。戦前のランチアが小型乗用車として送り出したのが〝1946年式 Lancia Ardea Sr.2〟(写真右上・左下)1939年から1953年にかけて製造されたランチアアルデアは、観音開きのボディにランチア伝統の挟角V4エンジンなど、当時としては先進的なメカニズムを搭載した意欲作だ。他にもトライアンフ・TR3や、ミッレミリアやタルガ・フローリオ等のレースに参戦歴のある純レーシングカー、バンディーニ750Sやスタンゲリーニ750Sも登場。この2台は公道走行可能で、国内外のラリーに参戦できるという。これまで多くのラリーへ出場・サポートを繰り返し、様々なトラブルに瞬間的に処置を行う必要があるラリーの過酷な環境で培われたノウハウから、こうした世界的に稀な車種の整備を可能としている。ラリー競技への出場サポートも行っており、今回のオートモビルカウンシルの会期中も、4/15~4/18に名古屋・京都間で行われたLa Festa Primavera 2022へ8台のエントリーサポートを行っていたという。

ガレージイガラシ
URL: https://garage-igarashi.co.jp/


 

WINS AUTO

愛知県名古屋市に位置するクラシックポルシェの専門店〝 WINS AUTO〟。取り扱う車種は、クラシックポルシェの中でも空冷型エンジンを搭載しているポルシェ356型、901型から993型まで、通称空冷ポルシェを専門として修理・販売を行っている。 自動車業界での長いキャリアを持つ代表の岩田氏は「出来ていない状態で売らない」 という強いこだわりの持ち主。入庫してきた車両の抱えるネガにしっかりと向き合い、納得のいく状態に仕上げてから販売するのが基本方針なのだとか。そのこだわり具合はしっかりと展示車両にも表れており、会場には思わず唸ってしまうコンディションの4台が展示された。

ビビットなイエローが眩しい1973年式 ポルシェ901型911Tは、ガレージに永く眠っていた一台。43000kmを指すトリップメーターが止まってからおよそ30年大事に保管されていたのだという。しかし、30年の年月はメカニカルに少なくない劣化を与えており、深刻なオイル漏れは分解整備を行っても解消せず、結果的に3度のオーバーホールを行う事で解決に辿り着いたという。サンドベージュの1972年式 ポルシェ901型 991Sは、内外装共にオリジナル度の高い貴重な一台。こちらも細部まで丁寧に仕上げられた一台だが、特筆すべきはオリジナルのシート。どうしても経年劣化と共に破けてしまったり、補修が必要になった場合も安易に張り替えや交換を選ばず、長年のコネクションを活用、時間をかけてオリジナルの生地をイタリアから探し出し、補修を行ったという。このように、オリジナルを大切に残していくと共に、時に完全なオリジナルにこだわる事無く上位グレードのパーツ(この場合は911S)や後継車種となる930型、964型などの対策品等、機械的に優れたものを採用する事で、安心して楽しめるクラシックポルシェの提供を実現している。

WINS AUTO
URL: https://www.wins-auto.jp/


 

photograph: Ryousuke Doi
edit & interview: Chihiro Watanabe

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