Simple auto

1984年に大阪・寝屋川に創業して以来、ヘリテージBMW一筋でキャリアを築き続ける、言わずと知れたヘリテージBMWのスペシャリスト〝シンプルオート〟。広い工場には、エンジンやミッション類を始めとする数々のパーツがストックされ、簡単な修理からオーバーホール・フルレストアまで、ユーザーの要望に合わせてトコトン対応できるのが強みだ。時々刻々と変化するパーツ事情に合わせて、各地からパーツを探求するだけでは飽き足らず、いよいよ数年前から自社で2002専用パーツの生産プロジェクトを開始。台湾の協力関係にあるファクトリーと共に、BMWが欠品・生産中止しているパーツをメインに、ボディパネル類やモールと言った外装品関係からドアノブ・キーシリンダー・ダッシュボードと言った各種内装パーツに至るまであらゆる部品の生産に取り組んでおり、近日中に各種パーツ専売のECサイトもオープン予定となっている。そんな情熱の源は、「日本でヘリテージBMWをより長く楽しんで欲しい」という想いから。今回のオートモビルカウンシルでは、看板車両であるBMW 2002ターボと、BMW E46 M3が展示された。

シンプルオートの代名詞とも言えるBMW2002シリーズでも貴重なターボチャージャーで武装されたモデル〝1974年式 BMW 2002 Turbo〟が展示された。一目でそれと分かる大きなフロントスポイラーにマルニターボ専用のデカールがあしらわれ、大型のオーバーフェンダーを備えた威風堂々の佇まいだ。世界で初となるターボチャージャー搭載の市販車として売り出されたマルニターボは、角型テールライトを備えた後期型モデルのみラインナップされ総生産台数は1672台のみの希少車だ。 もう一台の展示は〝2002年式 BMW M3〟伝統的なBMW 3シリーズの三世代目となるE46型 M3だ。先代M3に搭載されたF1譲りのセミオートマ機構、SMGが進化し高い信頼性を誇るメカニズムとなったSMGⅡを搭載するこの個体。貴重なトパーズメタリックを纏ったボディは内外装共に絶品で、走行距離は僅か27,000kmに留まる極上個体だ。

シンプルオート
URL: http://simpleauto.jp/


 

シルバースター

「もっと、クラシックメルセデスを多くの人に。」兵庫県神戸市に拠点を構え、1950~1980年代のクラシックメルセデスを専門として、修理・整備・販売を行う〝シルバースター〟。主として取り扱うクラシックメルセデスは、車齢にして30~70歳ほど。車齢を聞くだけで、故障やパーツ供給などの不安はつきない。しかし、そんな先入観・不安要素を払拭してくれる救世主がこのシルバースター。1970年以降のメルセデスは多くがATを採用し、パワーステアリング・クーラー・クルーズコントロールなどの快適装備を備えている個体も多く存在し、これらを始めとする機器類に対して徹底的にメインテナンスを施すと、現代でも問題なく移動の足として使う事ができるのだとか。そのため、修理には完全な純正に拘る事無く、実用性を尊重した現代的なアップデートを施すこともしばしば。SSTと呼ぼれるクラシックメルセデス専用工具を多数取り揃えたファクトリー内には、メインテンススペースの他にボディショップ・塗装ブースを備え、あらゆる整備に対応可能となっている。シルバースターでは、クラシックメルセデスの魅力を伝えるべく、より多くの人に知識・価値感・本来持つ車の良さなどを感じてもらいたいという想いの下、試乗・撮影・メインテナンスデータ・パーツカタログページの用意を始め、購入前の不安を拭い、購入後も手厚いサポートを提供する体制が用意されている。

会場でひと際存在感を放っていた、シルバースターの2台がこちら。クリームグリーンが可愛らしいステーションワゴンは、〝1966年式 Mercedes-Bentz 230 Universal〟W111型に特徴されるリアセクションのフィンを持つ通称「ハネベン」と呼ばれるモデルだ。ユニバーサルという名称を付けられたステーションワゴンのモデルも希少だが、この個体はなんと右ハンドルの英国仕様。昨年の11月にイギリスから輸入し、オートモビルカウンシルに向けてレストレーションが行われた貴重な一台だ。 もう一台の愛嬌あふれる展示車両は〝1963年式 Mercedes-Bentz o319 BUS〟1955年から1967年にかけて生産していた商用車モデル「319シリーズ」のマイクロバスモデルである。日本にも当時の正規ディーラーであるウェスタン自動車によって複数台の輸入がされたが、商用車という性質もあってそのほとんどが役目を終えると同時に処分されてしまったという。この個体は、前オーナーが幼少期に通学路で毎日走っている姿を見ていた思い出の個体。元々フロントに4気筒のガソリンエンジンを積むFRモデルであるが、クーラー用としてリアに小型エンジンを搭載しているのも特徴で、内外装ともに適宜メインテナンスが加えられているものの当時の姿を残した非常に貴重なモデルである。

シルバースター
URL: https://www.old-mercedes.net/


 

Beck Japan by ヨシムラオート

株式会社ヨシムラオートが日本総代理店として全面プロデュースする、〝BECK JAPAN by ヨシムラオート〟ポルシェの伝説を創り出した優れたデザインに並外れた走行性能を持つ歴史的スーパースポーツカーを、公道からサーキットまで気軽に楽しめるレプリカモデルとして現代に蘇らせたクラシックポルシェのコーチビルダー、BECK。ヨシムラオートでは日本総代理店として本国へのオーダー、メインテナンスに関する全てを取り扱っている。ベックの歴史は古く、元シェルビー・アメリカンのエンジニアにして生粋のポルシェ エンスージアストであるチャック・ベック氏による「ベック・デベロップメント」が半世紀以上前に設立され、ポルシェ550スパイダーのキットカー販売を行ったのが始まり。クラシックポルシェのフレームやボディに忠実に従いながらオリジナルボディを製作し、エンジン等の様々なコンポーネンツを選択しながら車両を製作する事ができる。製造しているのは、550スパイダー、 904GTS、356スピードスターなど。大変貴重で手に入れることが難しいクラシックポルシェの魅力をそのままに、現代に蘇らせたのがベックシリーズだ。

今回のオートモビルカウンシルでは〝BECK GTS〟と〝BECK 550 スパイダー〟の2台を展示。シルバーのBECK GTSは、ポルシェ964に搭載されている3.6LエンジンをMOTECで制御しトルクフルな260psを発生し、800kgという超軽量ボディを牽引する。オリジナルのPorsche 904 GTSと比較して、機関的にも高出力で扱いやすく、近代的なユニットを搭載する事で信頼性も高まっているだけでなく、シャーシ自体から安全性を考えて、現代のパワーに耐えうるシャーシとして再設計された物。当然、ロールゲージなどの補強パーツも装着されているが、ポジションの自由度が高く、室内の居住性も改善されている(オリジナル比)。 ブラックのボディに、ベージュのクラシカルな内装を持つ1台は〝ベック 550スパイダー〟。スバル製・2.5L水平対向エンジンを搭載し、フロア4MTを組み合わせた2015年式のモデルになる。現在、BECK GTS/550スパイダー/356スパイダーはそれぞれ5~25台ずつ生産されているが、世界各地でバックオーダーを抱える大人気ぶりでいずれの車種も最短4年待ち!しかし、最新のモデルでは6速ワイヤーリモートシフトや、マイル⇒km表記への変更や、取り外し可能ロールゲージなどのオプションをチョイスし完全な日本仕様としてオーダーが可能で、日本の道路交通事情に合わせた細かなオーダーが可能なところも大きな魅力の一つとなっている。

Beck Japan by ヨシムラオート
URL: http://beckjapan.jp/


 

KOA SPEED

横浜市都筑区に拠点を構え、空冷ポルシェ全般のレストモッド・オリジナルモディファイや、ヘリテージカーのメインテナンス・販売、「クラシックポルシェ用エレクトロエアコンシステム」の開発・販売等を手掛ける〝KOA SPEED〟。初出展となった2019年のオートモビルカウンシルから連続して、次々にKOA SPEED流のエッセンスを詰め込んだレストモッド・ポルシェを展示。「往年のラリースタイル」をテーマに製作され、ステッカーやウェザリングが随所に施された1983年式 ポルシェ 911SC〝Baja Frosch(バハ・フロシュ)〟や、911 GT2をサンプリングした上で万人が扱えるファスト・ポルシェをテーマに掲げたシボレー・コルベット用V8エンジンを搭載した〝LS1-Powered ポルシェ993〟 など、各コンセプトに沿った高いオリジナリティが人気を集めている。

今回は、「カスタム・レーシング」それぞれの究極系とも言えるモディファイを加えられた2台のレストモッド・ポルシェを展示。異様な存在感を放つ赤いレーシングポルシェは〝1963年式 Porsche 356B 〟。1990年頃、ヒストリックカーレース出場に向けて改造されて以来、30年近くサンダーヒル、ラグナセカと言った各地のサーキットを戦場としてサーキット専用車両として走り続けていたれっきとしたレーシングカーだ。アメリカのCSRG(Classic Sports Racing Group)を中心として様々なレースに出場したこの個体、レース時の車検シールがひしめくロールバーがヒストリーを物語っている。高度なチューニングが施された1.6Lのエンジンに、フロアに溶接されたロールゲージと剥き出しの内装、6000rpm以上でないとつながらないシビアなクロスミッションを持つこのレーシングを日本の法規に合わせてモディファイ。なんとこの個体、ナンバーを取得しておりサーキットは勿論、公道ラリー等も楽しめる本気のレーシングポルシェになっている。アースカラーをテーマとして、徹底的なモディファイが行われたKOA SPEEDお馴染みのデモカー〝ポルシェ911T 3.3 RSR Turbo〟はシフター&シフトノブをアップデート。日本の伝統芸能「寄木細工」の職人の下で、何度も試行錯誤を繰り返し、常にタッチポイントとなるシフトノブの握りやすさを追求した上で、日本ならではのエッセンスをマージし更なる究極のレストモッド・ポルシェへと昇華されている。


 

AUTO DIRECT

ポルシェ・アストンマーティンをはじめとしてヘリテージカーから新型車まで、趣味性の高い車両にフォーカスする〝AUTO DIRECT〟。取り扱う車両のコンディションには一切の妥協も無く、港区東麻布のショールームに並ぶ車両もどれも良コンディションを保つ個体ばかり。大きな変革期を迎えている自動車産業から生まれるのはEV化や自動運転などのテクノロジーありきのクルマばかり。こうした時代だからこそ「あえて趣味性の高いヘリテージカーを選ぶ、趣味人に刺さるセレクトをしていく」を信条とし、クルマ選びを行っている。最近は長年得意としてきたアストンマーティン、ジャガーに加えてエッジの効いた空冷ポルシェのラインナップも強化中。東京タワーに隣接するビル下のセキュリティーを完備した専用駐車場には常時豊富な在庫が用意され、コンディションはどれも折り紙付きだ。また、最新型のポルシェも展開しているオートダイレクトでは、ドイツ本国と直接取引し、ポルシェのパーソナリゼーション部門「エクスクルーシブ・マニュファクチュア」でのオーダーが可能。このプログラムは、カタログに無いカラー・オプションを用いて世界に一台だけのポルシェを仕立てる、いわばビスポークプラン。既に本プログラムでオーダーした数台が日本上陸済みで、オートダイレクトでは、随時エクスクルーシブ・マニュファクチュアでのオーダーを受け付けている。

今回展示されたのは、〝1952年式 jaguar XK120 OTS〟公称最高速度は120mphを誇る、ジャガーの国際的名誉を確立したモデルだ。車名の由来であるジャガー初の完全自社開発直列6気筒DOHCエンジン「XK型」は、1980年代まで生産され続ける事となる名作のエンジンだが、市販車として初めて搭載したのがXK120 である。 この個体は、国内正規ディーラーがまだない時代に新車並行として日本に持ち込まれ、AUTO DIRECTで長くメインテナンスされてきた個体。レーシーなスピードスター仕様として、バンパーレス・フロントウインドウのキャンセル、バケットシートへの変更や、ボディ一体型のヘッドレストも、全て型から起こし製作されモディファイが行われている。さらにこの個体は後継モデルであるXK140のエンジンに乗せ換えられ30馬力程パワーアップが図られており、伝統が息づくレーシーな走りを楽しむ事ができるという。

AUTO DIRECT
URL: https://www.auto-direct.jp/


 

MLA FACTORY SHOP

宮城県仙台市に拠点を構え、ランドローバーディフェンダー、クラシックミニなどの英国車を中心として、新型の希少モデルからヘリテージまで取り扱う〝MLA FACTORY SHOP〟。ランドローバーをはじめ、ミニ、ジャガー、アストンマーティンなどの各種英国車はメインテナンスからレストレーションまで対応可能。加えてポルシェを中心としたスポーツカーや、ロシア製の愛嬌溢れる商用車 UAZ(ワズ)は新車の輸入も取り扱っている。メインテナンスに限らず、オーナーの要望に沿って、シーンに合わせたコーディネートも得意としている。また、「乗れないクラシックより、乗れるネオクラシック」というモットーの下、扱う車種もネオクラシックに分類される年代が中心。樹脂やゴムパーツの多さ、技術的に発展途上な時代に多用された電装パーツなど、ネオクラッシックに求められる〝あるある〟のトラブルに対処するエッジの効いたメインテナンスが強みとなっている

今回展示されたのは〝2000年式 Rover MINI Mayfair〟1959年の登場から、現代まで製造が続けられているミニの初代モデル。その中でもモデル末期に設定され、ロンドンの歴史ある住宅地区であるメイフェアの伝統的イメージをモチーフに生産されたのがミニ・メイフェアだ。本来ボディとルーフ、ドアミラーは同色となっているモデルだが、MLA FACTORY SHOPのもとで粋なモディファイを敢行。機関・ボディ類のオーバーホールと同時にドアミラーをクラシカルなフェンダーミラーへと変更、内装もレザーシートやセンターメーターへと換装を行ったうえで、ダッシュボード・ドアにウッドパネルを一面にしつらえ、全体的にウッディな仕上がりにカスタムされている。会期中にはもう一台のローバーミニも展示されたが、どちらも即日次のオーナーが決まる人気ぶり。どちらも昨年からスタートしたレストレーション事業の下行われた車両になるが、MLA FACTORY SHOPでは、完璧に仕上げられ、ガレージに飾っておく程のヘリテージカーよりも、自ら走って楽しむ事ができるクルマを提供したい、という想いを大切に、比較的に手に取りやすい価格帯に抑えられているのも嬉しいポイントだ。

MLA FACTORY SHOP


 

photograph: Ryousuke Doi
edit & interview: Chihiro Watanabe

Shop Information

シルバースター

  • 住 所:〒655-0861 兵庫県神戸市垂水区下畑町字上口823-1
  • 電 話:078-754-1170
  • FAX:078-754-1275
  • 定休日:月曜日
  • URL:http://www.old-mercedes.net/