初回から5年連続、トヨタ博物館名義では3回目の出展となるトヨタ。プレスカンファレンスに登壇したトヨタ博物館館長の布垣直昭氏は、今回の展示を3つのトピックに分けて紹介した。
ひとつ目のトピックは、今回のメインの展示テーマとなっていた「セリカ」誕生50周年とトヨタのモータースポーツ。「未来の国からやってきたセリカ」をキャッチフレーズに掲げ、1970年に日本初のスペシャルティカーとして初代セリカが誕生してから、今年で50周年。それを記念して、ブースにはトヨタ博物館の所蔵車両である3台のセリカが展示された。1台目はトヨタ セリカ LB 2000GT RA25 型。1973年にバリエーションとして追加された、テールゲートを備えたリフトバックのトップグレードである。
1957年に初代トヨペット・クラウンでオーストラリア一周ラリーに参戦して以来、トヨタは量産車の性能と耐久性を磨くためにモータースポーツに参戦してきた。その歴史のなかで、50周年を迎えたセリカはレース、ラリー双方で活躍したモデルだったということで、後の2台はセリカ・ベースのコンペティションマシンが展示された。1台は1990年のサファリラリーで総合優勝した4代目セリカのGT-FOUR ST165 型。そしてもう1台は、1988年の北米IMSA(International Motor Sports Assosiation)スポーツカー選手権のGTOクラスで、日本車初となるドライバーズ、マニュファクチャラーズ双方のチャンピオンを獲得したセリカ・ターボ。F1とルマン24時間に優勝経験のあるアメリカ人ドライバー、ダン・ガーニー率いるレーシングチームであるAAR(All American Racers)に託された、4代目セリカをベースにFR化され、2リッターから607psを絞り出す4T-GEU改エンジンを搭載したマシンである。
また「メーカーの垣根を超えたミュージアム」を自他共に認めるトヨタ博物館らしく、ブースには往年のヨーロッパのレースのポスターや、3度のF1王者であるジャッキー・スチュワートが1960年代に愛用していたヘルメットといったモータースポーツ関連の収蔵品も展示されていた。
二つ目のトピックは、トヨタがグループ内の東和不動産と共に富士スピードウェイの周辺に建設中の「モータースポーツヴィレッジ(仮称)」。ハイアットホテルとのコラボレーションによる、トヨタ博物館監修のモータースポーツミュージアムを併設した高級ホテルという、かつてない施設である。ブースには新たなモータースポーツの魅力を発信する拠点となる、このプレミアムな空間の完成予想図か展示され、2022年度の完成を目指して鋭意進行中であることがアナウンスされた。
三つ目のトピックは、トヨタGAZOOレーシングがプロデュースする「GRヘリテージパーツ」。かつてトヨタが世に送りだしたモデルに乗り続けたいと願うオーナーの声に応えた、絶版パーツの復刻販売である。すでにA70/A80スープラ用の一部パーツが販売されているが、ブースには7月初旬に発表されたトヨタ2000GT用のトランスミッション関係を中心とする復刻パーツを展示。8月1日付けでそれらの価格を発表し、一部パーツを発売開始すること、および現時点で入手可能なトヨタ純正部品のなかに、2000GTに流用可能なものが百数十品があり、そのリストも8月1日付けでリリースされることが明らかにされた。そしてほかの車種用のパーツについても、徐々にではあるが要望に応えられるような体制を作っていきたい、と布垣館長は語り、プレスカンファレンスは終了となった。