1915年の創立以来、100年以上にわたって日本における輸入車の歴史をけん引してきたヤナセ。かつてはGM(ゼネラルモータース)、Mercedes-Benz、VOLKSWAGENを筆頭に多くのモデルをインポーターとして輸入し、累計販売台数は200万台を超える。同社の「最上質な商品、サービス、技術を感謝の心を込めて提供し、夢と感動あふれるクルマのある人生をつくる」という企業理念を具体化すべく、2018年に設立されたのがヤナセ クラシックカーセンターである。

具体的には、ヤナセが長年の経験から培った高い技術力とネットワークを生かし、往年の名車をヤナセクオリティで蘇らせること、およびそうしてレストアした車両を販売することが、主たる業務内容である。同社では、ヤナセが蓄積した技術やノウハウを次世代に伝えていくことは、単に自社内の後継者の育成に留まらず、クラシックカーを後世に残すという点で文化的な意義があると考えていることから、AUTOMOBILE COUNCILの主旨に賛同。昨年に続いて2回目の出展となる。

ドイツの技術、安全、証明サービスに関する認証機関であるテュフ・ラインランドによる最上級のクラシックガレージ認証や各メーカーによる認証を受けたファクトリーには、特殊な技術が必要とされるアルミボディの修復も可能なボディショップ、エンジンやトランスミッションなどのリビルド施設も備え、あらゆるレストアや修理の要望に応えるという。

ブースには8台の車両が展示された。1952年にフォルクスワーゲンの取扱業務検討のためにサンプル輸入された4台のうちの1台となる通称ビートルことVOLKSWAGEN TYPE1、フェルディナント・ポルシェ博士がダイムラー・ベンツ在籍時に基本設計を行なったといわれる、リアエンジンの1936年 Mercedes-Benz 170H (W28)、吉田 茂元首相が愛用した1963年 Mercedes Benz 300 SE ラング、そして目下クラシックカーセンターでレストア作業中の1958年 Mercedes-Benz 190SL (W121)。それら4台のヒストリーのある4台に対し、残りの4台は俗にヤングタイマーなどと呼ばれる1980〜90年代生まれのMercedesの販売予定車両だった。

これら4台は「乗って楽しむクラシックカー」をコンセプトに、これから力を入れていくという車両販売のサンプル。補修前のベース状態で、仕上げ済みの価格を提示して展示されていた。4台を含めたクラシックカーセンター販売車両は、いずれもヤナセがインポーター時代に正規輸入して販売した車両をベースとし、不具合の修理および長年の経験から知る弱点の予防整備を行ったうえで車検を取得、6カ月または走行5000kmのヤナセクラシックカー保証付きで販売されるという。販売方法や保証内容を明記したパネル展示もあり、業界最大手の老舗ならではの信用が伝わってきた。