「スバル・ボクサー誕生50周年」をテーマに掲げたスバル。1966年にデビューした、ボクサーこと水平対向エンジンを最初に採用したモデルであるスバル1000、そして2016年秋発売予定の新型インプレッサ スポーツのプロトタイプという、50周年を迎えたボクサーの原点と最新モデルの2台を出展。そしてブースの中心には、スバルのルーツとなる中島飛行機製の空冷星形エンジン「栄21型(ハ-115)」(1943年)が、まるでオブジェのように展示されていた。
プレスカンファレンスに登壇したスバル国内営業本部マーケティング推進部担当部長の中村亜人氏は、中島飛行機の紹介からプレゼンテーションを開始した。中島飛行機の前身となる飛行機研究所は1917年の創設。つまり2017年に創立100周年を迎えるのだという。
「中島飛行機はエンジンや機体を独自開発する高い技術力と、従業員25万人を擁する世界有数の航空機メーカーだった。戦後、富士重工業となってからも自衛隊の練習機やヘリコプターなどを開発している。そうしたルーツを持つスバルのモノ作りの思想は、航空機であっても自動車であっても、乗りものとしての機能の本質を追求すること。それこそがスバルのDNAである」と中村氏は語った。
続いて話は本題であるボクサーエンジンに移った。スバル初の小型乗用車だったスバル1000の開発に際し、大きなテーマが広い居住空間の実現だった。「それに対して生産設備などの制約を取り払い、合理的なレイアウトを追求した結果、日本では珍しかったFFの採用を決断。FFを前提に運動性能とパッケージングを熟考した結果、必然的に選ばれたエンジン形式が水平対向だった」のだという。ちなみに水平対向エンジンの選択にあたっては「ピストンが対向して稼働する航空機用の星型エンジンの技術を持っていたことが後押しした」とのこと。栄21型星形エンジンは、単なる歴史的な象徴ではなく、50周年を迎えたボクサーエンジンの確固たる技術的なルーツとして展示されていたのである。
そして「ボクサーエンジンは部品点数が多く、製造ラインも特殊で工作の難易度も高いため、コストは一般的な直列エンジンより高くつく。しかし振動が少なくスムーズな回転フィール、低重心による高い運動性能、前面衝突時にフロア下に潜り込みやすい構造による車両の安全性というメリットがある。我々の考えるクルマとしての機能の本質の追求にあたり、もっとも合致したエンジンであるため、今後も採用し続けていく」と結んだ。