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「SCUDERIA BRITANNIA(スクデリア・ブリタニア)」というクラシックカーオーナーのクラブを主宰し、イベントオーガナイザーとして、ツアー、イベント、ミーティングなどを企画運営するカルロ氏。IT関連、不動産業などの職業を経たものの、結局はクラシックカー好きとお祭り好きが嵩じて、クルマ関係のイベント企画が生業に。イベントオーガナイザーの仕事は、人懐っこく大らかで、人を惹きつける魅力のある彼にはまさに天職。一方、クラシックカー熱のほうはこのトライアンフ TR6と出会って以来だとか。35年間続いているこのクルマとの蜜月ぶりを語ってもらった。
「SCUDERIA BRITANNIA」の創業やイベントオーガナイザーの活動について教えてください。
カルロ(以下カ)「はじめは仕事というよりは趣味として始まったんです。89年にクラシックカー好きの仲間たちとパリでのミーティングに出かけたのですが、その旅をきっかけにこういうことを定期的にやるクラブ的なものを作ろうと思ったのです。IT関係の仕事をやっていたのですが、本格的にイベントやツアーなどのオーガナイズに携わるようになりました。クラシックカーオーナーのイベントというと、クルマの見せびらかし合いで参加費も高く、敷居の高い感じのものが多いのですが、私はクルマに実際に乗って楽しみ、オープンで肩ひじ張らないイベントを企画したいと思っています。私が企画するイベントにピカピカのクルマで登場する人は、まず私が泥で汚してやるんですよ(笑)」
あなた自身のクラシックカーとの出会いは?
カ「まさにこのクルマ、トライアンフ TR6 PIが私とクラシックカーの出会いでした。このクルマは1969年製なのですが、70年代初期のオイルショックで省燃費傾向になり、この手のエンジンやシリンダーは作られなくなったので、最後の大型エンジンのクルマなのです。そんな希少価値であることと、角ばった男らしいデザインに惹かれました。デザイン的にトライアンフMGは女性的で、TR6は男性的と言われ、私もよくトライアンフ MGのオーナーをからかっています(笑)。このクルマとの出会いが、私をクラシックカーの世界に引き込んだんです」
このクルマのどんなところが好きですか?
カ「まずは運転が楽しい事。もちろん運転は少々テクニックが必要ですが、私はタイヤなどをカスタマイズしているので、長距離の旅に出ても全く問題ありませんし、今でも時速200キロぐらい出せるんですよ。オープンにして運転していると、バイクに乗っているようなパワフルな走りをします。デザイン的に好きなところは、先ほどもお話したような全体的な男らしいフォルムを始め、黒を基調に、木製のディテールを施したインテリアもいいですね」
周りの人の反応はどうですか?
カ「このクルマは一般的にはそんなに知られていないので、まずは何と言うクルマかと聞かれますね。そして、曲線的なフォルムのクルマが多い中、独特の角張ったデザインが施されているこのクルマの美しさをほめてくれる人もいますし、ブーンというこのクルマ独特のエンジン音に反応する人もいます。私もこのエンジン音は大好きです。ハーレーのような感じで、なにしろこの音はTR6だけにしか出せない音ですからね」
ずばり、クラシックカーの魅力は何ですか?
カ「クラシックカーには魂があるような気がします。昔のクルマは、新モデルができたら買い替えるようにできている今のクルマと違って、長く使えるように作ってあるんです。だからクルマがまるで生き物のようで、それぞれに独特の個性と香りがあるんですよ。だから、クラシックカーを高級品のように扱うのはどうかと思うんですよね。さっき“イベントに参加するマニアがピカピカに磨き上げたクルマを持ってきたらまずは泥をかけて汚す”と言う話をしましたが、それは魂のある生き物とは一緒に楽しんでこそ、と言う気持ちがあるからなんです」
Photograph: Stefano Triulzi
Interview: Miki Tanaka