2010年に急逝したイタリア人のラリードライバーにしてデザイナー、実業家のジーノ・マカルーゾが遺したヘリテージカー・コレクションの中からラリーカーをフィーチャーし、2022年から23年にかけてトリノ自動車博物館で開かれた「THE GOLDEN AGE OF RALLY」。その出展車両のなかから選抜された6台が、昨2024年11月に開かれたWRCラリー・ジャパンの際に、トヨタ自動車とジーノ・マカルーゾ・ヒストリックカー財団の共同企画として展示された。

ラリー・ジャパンの終了後、6台は舞台を富士モータースポーツミュージアムに移し、「THE GOLDEN AGE OF RALLY IN JAPAN」として、昨年11月27日から去る4月8日まで展示されていた。「BMCミニ・クーパーS」、「フィアットX1/9アバルト・プロトティーポ」、「ランチア・ストラトスHF」、「フィアット・アバルト131ラリー」、「ルノー5ターボ」、「アウディ・クワトロ」というそれら6台の、約半年にわたるジャパン・ツアーの最後のステージに選ばれたのが、オートモビルカウンシル。同じく「THE GOLDEN AGE OF RALLY IN JAPAN」というタイトルを冠し、主催者テーマ展示のひとつとなったのだ。

遺族が設立した財団の会長を務める夫人のモニカ・マカルーゾ氏が、今回のジャパン・ツアーをアテンドした富士モータースポーツミュージアム館長の布垣直昭氏に、感謝の印としてプレートを贈呈することから始まったプレスカンファレンス。

彼女は「日本は父、そして夫がビジネスで何度も訪れていた縁のある国。その夫の情熱を私と4人の子供が受け継いだ財団が、夫が開発に係わったフィアットX1/9アバルト・プロトティーポをはじめとするラリーカーを持って来られてうれしい」と語った。

彼女いわく、財団の所有するクルマは1960年代から90年代のラリーカーが中心で、できるだけオリジナルの状態を維持しつつも、きれいに保つだけなく動体保存することがミッション(役割)とのこと。そして「夫が気にかけていたのは次世代への継承。若いデザイナー、エンジニアやメカニックが、コレクションを維持管理するスタッフと実際に触れ合うことで学ぶ、次世代の育成の場としても財団は機能している」という。

「もちろん、こうした展示イベントも大切。今回のジャパン・ツアーも、トリノ自動車博物館での企画展示からトヨタとの縁ができて実現した。そのツアーの最後を締めくくるこの場で展示できるのは幸せ。興味を持って見てくれる来場者、伝えてくれるジャーナリスト、すべてのみなさんに感謝したい」と続けた。

こう語った後、最後に「オートモビルカウンシルは、ヨーロッパの同種のものにも引けをとらない、誇ることができるイベント。ぜひとも続けていただきたい」と、主催者および関係者にとっては、なんとも勇気づけられる言葉を贈ってくれた。