今回が初出展となった、英国の名門であるアストンマーティン。ブースでは去る6月に発表された新たなフラッグシップである「DBSスーパーレッジェーラ」を一般初公開するとともに、そのヘリテージを象徴するモデルとして1970年「DB6 Mk2 ヴォランテ」を展示。同社の歴史と伝統をアピールしている。
プレスカンファレンスには、アストンマーティンジャパン マネージングディレクターの寺嶋正一氏と、本国でヘリテージモデルのサービスを担当するアストマーティン ワークスのヘリテージディレクターを務めるジュリアン・レン氏が登壇した。
「1913年に創立されたアストンマーティン ラゴンダ社は、もっとも古い英国のラグジュアリーカーメーカーのひとつで、これまでの105年間に約9万台のクルマを送りだした。大量生産メーカーなら1週間で作ってしまう量だが、驚くべきはそのうちおよそ95%が今なお走行可能な状態にあること」と寺嶋氏が語ったブランドであるアストンマーティン。彼らの使命は世界でもっとも美しいクルマを作ることであり、美と伝統を追い求めた105年の歴史と経験がそれを実現するのだという。
同社では2015年に新たな100年に向けての「セカンドセンチュリープラン」を発表。そのなかに、7年間に7台(車種)のニューモデルをリリース、モデルサイクルを7年として、それを7年ごとに繰り返すというプロジェクトがある。その第1章として2016年に登場した「DB11」は大成功を収め、2017年には第2章となる「ヴァンテージ」がデビュー。そして2018年には第3章として、象徴的な名称である「DBS」を復活させた「DBSスーパーレッジェーラ」が加わったというわけだ。
究極のスーパーGTとして明確な個性を与えるべく、パフォーマンスおよびデザインのハードルを上げ、その名にふさわしいヘリテージと軽量化のエッセンスを加えたというDBSスーパーレッジェーラ。「DB11やヴァンテージ同様、アストンマーティンにとって大変重要な役割を果たしていく」と寺嶋氏は結んだ。
オートモビル カウンシルのために来日したジュリアン・レン氏が指揮をとるヘリテージ部門のアストマーティン ワークスは、52年間にわたってアストンマーティンの本拠地として歴史を積み重ねてきたバッキンガム州ニューポート・パグネルの旧工場にある。かつてここではDB4、DB5、DB6、オリジナルのDBS、V8ヴァンテージ、ウイリアム・タウンズが設計した異色のサルーンであるラゴンダなど約1万3300台が開発・生産された。
今回、展示された「DB6 Mk2 ヴォランテ」もそのうちの1台。レノ氏いわく「1969年から70年にかけてわずか38台のみ作られた、実にエレガントなモデルで、プリンス・オブ・ウェールズ(チャールズ皇太子)も21歳の誕生日に贈られて以来、今日まで所有し続けている」という。
展示された個体は、ニューポート・パグネルのアストマーティン ワークスに里帰りして、フルレストアを受けている。「グッドウッドグリーンのエクステリアにベージュのインテリアという、オリジナルのカラーコーディネーションをまとい、エンジンをはじめあらゆる部分に手を入れてさらに価値を高めた」という成り立ちに加え、「アストンマーティンワークスでレストアされたDB6 Mk2ヴォランテはこの1台のみで、本当にスペシャルなモデル」だとレノ氏は胸を張った。
最後にレノ氏は「日本においてもアストンマーティンのヘリテージカーの販売とサービスを開始する予定」であると述べた。特に力を込めるわけでもなく、さらりと語られたが、この言葉を耳にして、はるばるレノ氏が訪日した意味がわかった気がした。