初回以来2回目の出展となるマクラーレン・オートモーティブ。出展車両は2009年に設立された同社の短いが濃縮された歴史のなかから選ばれた2012年MP4-12Cスパイダーと18年末にデビューした720Cスパイダーで、新旧スパイダーの競演となった。プレスカンファレンスには、マクラーレン・オートモーティブ アジア日本支社代表の正木嘉宏氏が登壇。AUTOMOBILE COUNCIL共同代表を務める加藤哲也氏とのトーク形式でマクラーレンの過去、現在、そして未来について語った。
話は1981年にクルマの世界に初めてカーボンコンポジット製モノコックを導入したマクラーレンのF1マシン、MP4/1からスタート。加藤氏は「高剛性かつ軽量で、性能だけでなく安全性の向上にも大きく貢献したカーボンコンポジットは、F1の歴史に残る画期的な技術。これに代わるものが出てこないことからも、いかにマクラーレンに先見の明があったかがわかる」と、マクラーレンの技術力の高さと先進性に言及。その発言を受けた正木氏は「マクラーレンは、カーボンコンポジット製モノコックを市販車すべてに採用している唯一のメーカーです」と述べた。
鬼才ゴードン・マレーが設計したマクラーレン初のロードカーだったF1から数年のブランクを経て、新生マクラーレン・オートモーティブは2011年に初の市販車であるMP4-12Cをリリース。そのプロトタイプにポルトガルのサーキットで試乗したという加藤氏は、「アップダウンが激しく、ブラインドも多くてブレーキにも厳しい、ドライバーに緊張を強いるコースなのに、運転していると自然に笑みがこぼれてしまう。すばらしいハンドリングとスタビリティ、そしてドライビングプレジャー。F1コンストラクターが本気でスポーツカーを作るとこうなるのか、と感銘を受けた」と印象を語った。「そのいっぽうで、プロアクティブシャシーコントロールがもたらす、ロールス・ロイスやレンジローバーにも見劣りしないような乗り心地にも驚かされた」と付け加えた。
さらに加藤氏は、P1やセナといったアルティメットシリーズのハイパーなモデルのインプレッションも披露。「P1では、簡単に300km/h以上に到達してしまうハイブリッドのスーパースポーツの未知の加速力に驚愕。EVモードの実用性にも感心した。究極のトラックエディションであるセナのシルバーストンでのトラックインプレッションは、自分のモータージャーナリスト人生のハイライトだった」と語った。
最後に正木氏は、アルティメットシリーズの最新作である最高速403km/hのスピードテールを頂点とする現在のラインナップを紹介。「今後もマクラーレンはミドシップ2シーターというカテゴリーで、さまざまなモデルを送り出していきます。ご期待ください」と締めくくった。