ヴィンテージ宮田自動車

スカイライン・フェアレディZなど国産ヘリテージカーのスペシャリスト、〝ヴィンテージ宮田自動車〟。社長の宮田篤氏が1から作り上げたショップは、創業当初はスバル360などの軽自動車に始まり、国産旧車の整備・販売を手掛けて30年以上。現在では、5台分のピットと常時100台以上の在庫を取り揃え、新車・中古車、国産・外車問わずオールラウンドに対応可能だ。「いいクルマ選びは、良い店選びから」をモットーに、ユーザー寄り添い続けるクルマ好きには大変心強いショップだ。

今回のオートモビルカウンシルでは、スバル360の中でもごく初期のみに製造された「デメキン」の愛称を持つ貴重なモデルや、フルレストアが施された1964年型日産セドリック、現在に至るトヨタクラウンの祖・1962年型トヨタクラウンなど目を見張るヘリテージカーの数々が出展された。特筆すべきは今回の目玉とも言える国産スポーツの二台。一台目は今や日本一希少な国産ヘリテージカーの地位を確立したトヨタ2000GT。国産旧車に精通したヴィンテージ宮田自動車でも、最後の取り扱いは八年前ほど。この個体は貴重なクーラーも装備されたフルオリジナルの後期型で、整備簿も完璧に残されている一台だ。二代目は走行距離僅か1800km、フルオリジナル・ノンレストアで空前絶後のコンディションを保つ1995年型日産スカイラインGT-R(R32)。大切に保管されてきたと銘打たれたヘリテージカーでも、日本の高温多湿な気候は決して車に優しい環境ではなく、塗装の他にゴムや樹脂類といった箇所は往々にして経年劣化が見られる物。しかし今回のR32型GT-Rについてはそうした類の劣化はほとんど見られず、社内には新車当時からのビニールが残こされ、タイヤまで新車時装着のポテンザRE71を維持する驚きのコンディション。長年国産ヘリテージに携わるヴィンテージ宮田自動車にも、「これほどの状態を保つGT-Rは見たことが無い」と言わしめるほどだが、こうした愛情を注がれてきた名車が全国各地から集まってくるのが、何よりもユーザーとのお付き合いを大切にするヴィンテージ宮田自動車の真骨頂であろう。

ヴィンテージ宮田自動車
URL: http://www.japan-vintage.com/


 

ガレーヂ伊太利屋

ヘリテージカー販売の老舗、〝ガレーヂ伊太利屋〟車両販売をはじめ、レストア及びメインテナンスのトータルサポートを提供し、現在イタリア車を中心に英・仏・独・米と国籍を問わず歴史に残る名車やヘリテージカーを取り扱っている。要望に沿ったレストア及びメインテナンスを提供するだけでなく、もともとパーツの販売も行っていたことから、世界各国にパーツや車両に買い付けにいく事もしばしば。現在は「ガレージ伊太利屋 クラシケ」トータル・コンシェルジュ・サービスも展開中で、1976年創立以来、45年に渡ってヘリテージカーのスペシャリストとして蓄積されたナレッジを活用し、車種毎の細かなトラブル箇所・注意点などのポイントを伝えながら、購入や維持に至るまでサポートを行っている。本サービスでは国内に留まらず、世界中から意中のクルマを探す事ができるという。

今回のオートモビルカウンシルでは、「Lancia Fulvia」と「Zagato」という二つのテーマの下6台のイタリア車を出展。会場内でも一際熱い視線を集めていたのが二台のLancia Fulvia Sport ZAGATOである。ランチアフルヴィアをベースとして、スポーティーなクルマを求めたランチアの要望をザガートが具現化する形で、1963年に登場したのがランチア フルヴィアスポルト。会場にはかつてフェラーリのチームマネージャーであったフランコ・リーニ氏がランチアに直接オーダーしたスペシャルな一台と、デイトナ24hでのウィナーカーを模して本格的に製作された一台が展示された。そのほかにもダブル・バブルで有名な特徴的なエアロダイナミクスを持つ 1957年式 Fiat Abarth 750GTや、シートやカーペットといった委細点までイタリア本国にて丁寧にフルレストアを施された1973年式 Alfa Romeo 1600 Junior Z、僅か8000km未満のマイレージを保つAlfa Romeo RZなどが展示され、50年代以降のイタリア・ザガートの名車達を一気に楽しめる彩り豊かなスペースとなっている。

ガレーヂ伊太利屋
URL: https://garage-italya.co.jp/


 

McLaren Automotive

イギリスのF1を代表する名門コンストラクター、マクラーレンが高性能市販車の開発・販売を目的として設立されたロードカー部門〝McLaren Automotive〟。2009年の設立からMP4-12Cや、P1といった数々のスーパースポーツを世に送り出し続けている。今回のオートモビルカウンシルでは、2019年に設立されたマクラーレン認定中古車販売プログラム「McLaren Qualified(マクラーレンクオリファイド)」に則った認定中古車を展示。マクラーレン クオリファイドは、マクラーレン オートモーティブが厳選したユーズドカーに、最上のメインテナンス・リペアを施し提供するするサービスで、最高の車両品質・安心の保証内容、ロードアシスタンスまでカバーするパッケージとなっている。

会場には、マクラーレンクオリファイドから四台のマクラーレンが登場。マクラーレンクオリファイドの厳しい規格をクリアした上質なコンディションを保ち、なおかつ12カ月の保証が与えられた個体ばかり。アズールブルーと呼ばれる、コートダジュールの紺碧に染まる海をイメージした鮮やかな色を纏うクルマは「MP4-12C SPIDER」である。2011年にマクラーレンオートモーティブが新生マクラーレンとして送り出した初の市販車であり、現在に至るまでの礎とも言える存在。総生産台数はおよそ3500台程と言われ、各種オーダーによってオーナーの好みが反映された個体も少なくない。そのほかにも、MP4-12Cの後継モデルとなる650S Coupe / SPIDERや、600LT SPIDERなどが展示。近年のマクラーレンを代表する4台をじっくりと眺められる貴重な空間であった。

McLaren Automotive(マクラーレン オートモーティブ)
URL: https://cars.mclaren.com/jp-ja


 

アトランティックカーズ

1952年から、アストンマーティンをはじめとしてロータス、スパイカーなど趣味性の高い欧州車に特化して輸入販売を手掛けてきた〝アトランティックカーズ〟1994年から続いたアストンマーティンの正規輸入元の役割は2017年を持って終了。現在は、長年にわたって蓄積されたナレッジを基にヘリテージアストンマーティンを軸足にレストレーションと整備販売、加えてガレージライフに見合うアート、インテリア、マリンカルチャーなどのライフスタイルに関する総合的な提案まで行っている。また、2019年からイタリアのレーシングコンストラクターであるダラーラ社初の市販ロードカー「ダラーラ ストラダーレ」の正規輸入元として販売を行っている。

今回のオートモビルカウンシルでは、アトランティックカーズ レーシング部門とTOM’Sのコラボレーション発足にかけて、「Dallara Stradale」と「TOM’S Super Formula SF-14」の二台を展示。日本のモータースポーツ界を賑わす事請け合いなこのコラボレーションは、ダラーラストラダーレを日本のサーキット環境に適した形にスぺシャライズさせる事を目的としたもの。日本で、より身近にサーキットやモータースポーツを楽しんでほしいという想いから、サーキットやダラーラストラダーレを用いた各種イベントの開催も行われている。また、半球体スクリーン WUsphere2.9を使ったドライビングシミュレータも展示。スーパーフォーミュラーや、ダラーラストラダーレ実車そのものの走行を楽しめる物となっている。

アトランティックカーズ
URL: https://atlantic-c.jp/


 

AC MINDS

ライトウエイトスポーツの申し子、アレック・イシゴニス、コーリンチャップマンの両人の頭文字を取り、ライトウエイトスポーツの楽しさを広めるべく愛知県岡崎市に店舗を構える〝AC MINDS(エーシーマインズ)〟。ロータスのヘリテージはもちろんのこと、ケータハム(スーパーセブン)、モーガン、ロータス、BMC MONOのディーラーとしての顔を持つ、英国ライトウエイトスポーツの老舗である。一昨年の秋頃から積極的に海外からの仕入れをスタートし、高いコンディションのブリティッシュヘリテージを扱い続けている。またコロナ禍でオンラインショッピング〝AC MINDS AUTOJUMBLE〟が大盛況。日常に嬉しいアイテムや、デッドストックのパーツ類まで各種取り揃えられている。

今回のオートモビルカウンシルでは、英国から輸入されたばかりの粒揃いなロータス車4台が並んだ。ブースには、1995年のデビューから、モデルチェンジを繰り返しながら生産を続けられてきたロータスエリーゼのファーストモデルである1998年式 LOTUS ELISEの姿も。いよいよ、2021年をもって生産中止を宣言され20年以上に渡って販売が行われた長寿モデルに終止符が打たれることになり、エリーゼの原点とも言うべきファーストモデルはますます希少価値が高まるであろう一台。今回の個体はイギリスから持ち込まれ、オリジナル性が保たれた一台である。また、他の三台は1962年式 ELITE Sr2、1972年式 ELAN Plus 2 130/5、1978年式 ESPRITと、エリートから始まるロータスGTカーの系譜を総覧する事ができる。その中でも、ふわりとしたコノリーレザーが綺麗に維持されているロータスエスプリは、イギリスから到着したばかりのオリジナル度が高い一台。初代モデルの生産台数は1000台弱である事に加えて、当時のメインとなる販売ターゲットが欧州や米国だったことから右ハンドルの個体の割合は高くないため、大変貴重な一台と言えるであろう。

AC MINDS (エーシー マインズ)
URL: http://ac-minds.com/


 

BRITISH LABEL/MOTOR Logic Company/BESPOKES TOKYO

ランドローバーディフェンダー、クラシックミニなどの英国車を専門として、新型の希少モデルからヘリテージまで取り扱う〝BRITISH LABEL(ブリティッシュレーベル)〟。イギリス本国への独自コネクションを活用し、ストックヤードには豊富なパーツストックを在庫し、ランドローバーをはじめ、ミニ、アストンマーティンについてはメインテナンスからレストレーションまで対応可能。今回は二台のヘリテージアストンマーティンが展示された。また昨年同様、合同展示となったのが〝MOTOR Logic Company(モーターロジックカンパニー)〟。ジャガー、アストン・マーティンなどの英国車を中心に、ポルシェなどのスーパースポーツを取り扱う。メインテナンスに限らず、オーナーの要望に沿って、シーンに合わせたコーディネートも得意としている。

MOTOR Logic Companyからは、ロシア製の愛嬌のある商用車 UAZ(ワズ)2206 JUBILEEが登場。今年から新たに取り扱いを始めたこのロシア車は、なんと新車の現行車。現行モデルながら旧車のようなクラシカルな佇まいと、アナログなインテリアはこのままでも、我流にカスタムを施して唯一無二の一台を作り上げるのも楽しめる素敵な一台だ。また、今回は〝BESPOKES TOKYO(ビスポークス トウキョウ)〟を加えた三社でブースを展開。BESPOKES TOKYOは、メルセデスベンツ ゲレンデを中心に、様々なクルマをオーナーの嗜好に合わせて仕立てていくビスポークカスタマイズを得意とするショップ。東京都新宿に店舗を構え、ライフスタイルやイメージに合わせた一台を探し出し、仕立てていく「プレオーダープラン」とオーナーの要望に沿いつつコミュニケーション通じて理想の一台を仕立てていく「テーラードプラン」の二つのプランが用意され、エクステリア・インテリアのデザイン、色味や細かな質感に至るまで、とことん理想を追い求める事ができる。

BRITISH LABEL(ブリティッシュレーベル)
URL: http://www.britishlabel.com/index-e.html

MOTOR Logic Company(モーターロジックカンパニー)
URL: http://www.motorlogic-co.com/

BESPOKES TOKYO(ビスポークス トウキョウ)
URL: https://bespokes.tokyo/


 

photograph: Ryousuke Doi
edit & interview: Chihiro Watanabe