オートモビルカウンシルが初開催された2016年から3年連続での出展となるスバルの、今回の展示テーマは「SUBARU SUV STORY ~量産初の乗用AWDをつくった、SUBARU SUVの進化の系譜~」。展示車両は1972年にデビューした世界初の乗用車ベースの量産4WD車であるレオーネ エステートバン4WD、1995年に発売されたワゴンベースSUVのパイオニアであるレガシィ グランドワゴン、1997年に登場したクロスオーバーSUVである初代フォレスター、そしてこの6月にフルモデルチェンジされた新型フォレスターの4台。プレスカンファレンスには同社広報部の清田勝紀氏が登壇、それらの展示車両を前にスバルSUVの歴史を語った。

4WDといえばヘビーデューティなジープタイプしかなかった1970年、東北電力の依頼によりディーラーの宮城スバルが「スバル1000バン」をベースに4WD化した試作車に始まるスバルAWDの歴史。そのプロジェクトはスバル本社に引き継がれ、1972年に初代レオーネのエステートバン4WDとして製品化された。ここからスバルのSUVヒストリーが始まったのである。

その後2代目、3代目レオーネ、初代レガシィと進化を続けていたスバルAWD。だが1980年代から90年代にかけて、為替や景気後退などで販売に陰りが見え始めた米国市場でスバル復活の役目を担って登場したモデルが、1994年に投入されたアウトバック(日本名:レガシィ グランドワゴン)。2代目レガシィ ツーリングワゴンをベースに最低地上高を上げ、オールウェザータイヤを履いたアウトバックは、SUVの力強さと走破性、そして乗用車の乗り心地と安定性を兼ね備えた「スポーツユーティリティワゴン」としてアメリカでヒット。市場に先行するSUVとは異なる、新たな価値を提案することでスバルのブランドバリューを高めた。

レオーネ4WDやアウトバックのような既存モデルからの派生ではない、スバルのコア技術であるシンメトリカルAWDを採用した、新たなカテゴリーのクルマとして1997年に登場したモデルが初代フォレスター。ラフロードでの高い走破性とオンロードでの優れた走行性能を併せ持ち、さらに日常生活でも使いやすいという、欲張りなコンセプトの下に開発されたが、最重要ポイントとなったのはパッケージングという。

「SUVならではの良好な視界やラフロードの走破性と、乗用車の美点であるオンロードでの走行安定性や乗り心地のよさを高次元でバランスさせるために導き出された答えが、
200mmの最低地上高と600mmのヒップポイント(着座位置)だった」と清田氏は語ったが、そのパッケージングにWRC(世界ラリー選手権)などで鍛えたレガシィやインプレッサの走りのパフォーマンスをドッキング。現代でいうところのクロスオーバーSUVの先駆となる初代フォレスターが誕生した。

それから20年を経て、今年、5代目に進化したフォレスター。現在では世界規模でスバルの最量販車種に成長している。土台となるスバルグローバルプラットフォームに、ドライバーモニタリングシステム、e-BOXERなどの新機軸を加えた新型フォレスターをはじめ、レガシィ アウトバック、XVと揃ったスバルSUV。いずれも「水平対向エンジンによる低重心」「シンメトリカルAWD」「ユーティリティ」というスバルSUVのDNAを備え、「これからもユーザーに安心と楽しさ、そしてたくさんの笑顔を届けていく」というラインナップだ。スバルSUV、その物語はまだまだ続いていくのである。