日本ミシュランタイヤ

100年以上の歴史を持つ、世界最大級のタイヤメーカー〝Michelin〟。フランスに本拠地を持ち日本を含め世界中に向けて、乗用車・トラック・バス・大型重機・航空機・二輪車・自転車など、あらゆる乗り物に向けてタイヤの開発・販売を行っている。現在、ミシュランでは30年代から70年代の終わりまでに製造された、さまざまな車に装着可能なヘリテージカー向けのタイヤを〝MICHELIN classic tyres〟シリーズとして、歴史あるミシュランの中でも1925年~1980年代当時の復刻モデルが用意されている。時代と共に進化してきた自動車に合わせた、サイズ・コンパウンドが用意され、あらゆるニーズ・シーンで楽しめるラインナップとなっている。

今回はミシュランクラシックタイヤシリーズの中から、あらゆるヘリテージカー向けタイヤが展示された。2021年にローンチされ今年度に10サイズまで拡大となった、多くのヘリテージカーオーナーの声に応える形で復刻した「ミシュランホワイトウォールタイヤシリーズ」。タイヤの側壁であるサイドウォールに白い帯を巻いているのが特徴のこのシリーズは、1950年代から1960年代にかけて活躍した車両に多く装着され、そのデザイン性の高さから当時の自動車ショーでも頻繁に用いられたアイコニックなシリーズだ。また、スポーティーな電動車向けシリーズとして発売されている、パイロットスポーツEVと、1980年代~1990年代に生まれた「ヤングタイマー世代」をターゲットとしたヘリテージカー向けタイヤ「パイロットエグザルト PE2」、「プライマシー3」を展示。時代と共に進化している現代のタイヤから、あえて〝その時代〟の車輛に最適化された性能のタイヤに履き替える事で、本来の走りをドライビングプレジャーと共に楽しめるという。オンラインサイトでは、新製品の情報も入手できるほか、毎年新商品が発売されるミシュラングッズもいち早く購入可能となっている。

日本ミシュランタイヤ
URL: https://www.michelin.co.jp/


 

日本ハイドロシステム工業

自動車・モータースポーツ向けに、特殊ホース製品と配管システムの設計製造を行っている〝日本ハイドロシステム工業〟。日本製の高品質な設計、生産技術が生み出す製品群は、過酷な環境下でも使用に耐えうる小型軽量、高耐圧、高耐久、高耐熱が要求されるモータースポーツでも採用されており、20年に渡って高機能・高付加価値のホース配管システムの開発に取り組んでいる。モータースポーツの開発で蓄積された技術を応用し、チタン合金や炭素繊維強化プラスチックを主要素材とする、超軽量高耐圧ホース、超軽量精密配管システム、およびこれらを組み合わせたハイブリッドな配管システムの提供が可能で、自動車産業に留まらず航空宇宙・ロボット・医療へも展開がなされている。さらに単品の試作から少量生産までをスピーディに納品する体制を有し、海外とのサプライチェーンを通じた製品提供により、ユーザーの多様なニーズに応える事が可能となっている。

ブースに並んだのは、メルセデスベンツ190E向け燃料ホース、ブレーキバキュームや、ポルシェ993用燃料・オイルリターンホースなど、ヘリテージカー向けの配管ホースが中心。年々厳しくなるヘリテージカーのパーツ供給事情に合わせて、日本車・輸入車問わず入手困難なパーツの提供を行っており、ラインナップに無い車両のパーツに関しても、設計を行い少量生産が可能となっている。製造から年数が経つヘリテージカーの中でも、最大のウィークポイントとも言える「ゴム部品」。燃料ホースを始めとするあらゆる部分に用いられており、劣化は避けられない悩みの種だ。仮にデッドストックが存在したとしても硬化やクラックが見られる事も多々ある様な悩ましいゴム部品を、現代の技術・品質で製造可能なのはヘリテージカーオーナーには見逃せないサービスとなっている。特殊ホース、配管システムを通じてヘリテージカーを一台でも多く後世に残し、自動車文化の継承に貢献していきたいという想いの下、アフターパーツの開発・提供に尽力を続けていくという。

日本ハイドロシステム工業
URL: https://www.jhi.co.jp/


 

ヤナセクラシックカーセンター

メルセデス・ベンツ、アウディ、フォルクスワーゲンなどの代理店として100年以上の長い歴史を持つ株式会社ヤナセ。その中でもヘリテージカーを専門として、整備・レストレーション・販売を取り扱うのが「ヤナセクラシックカーセンター」である。長年に渡り培われてきた経験や、蓄積された技術・文献に加え、ヘリテージカーに精通した国内外の取引先などのノウハウ・部品調達力を活用。日本に残されたヘリテージカーを可能な限り後世に残していきたいという想いの元、乗って楽しめる貴重なヘリテージカーの再生を行っている。取り扱う車両は、メルセデス・ベンツを中心としてこれまでヤナセグループが取り扱ってきた車両だけでなく、30年以上前に製造された「オールドタイマー」から、約20~30年前に製造され注目を集めている「ヤングタイマー」まで、幅広い年代のヘリテージカーを取り扱う。今回は、1993年式 MERCEDES・BENZ 500E(W124)などの6台のメルセデス・ベンツや、2台のフォルクスワーゲン・ゴルフが展示された。

今回は、昭和後期から平成初期に輸入され、日本のバブル期に輝いていた往年のメルセデスを中心にラインナップされた。当時のメルセデスの哲学が具現化された質実剛健な造りをしているものの、歳月には抗えず、ボディや機関系のコンディションはもちろん、弱点であるマウント類やジョイント類など、ケアし辛いチェックポイントも多いのだとか。しかし、ヤナセにはこうした世代のメルセデスと共に長年歩んできたメカニックが多数在籍。新車時から現在に至るまで、時間と共に現れる故障やウィークポイントを網羅している上、へリテージを守るべく若い世代へ技術継承もしっかりと行われているというから心強い。その結果、全ての車輛が長期的にドライブを楽しめるよう見栄え・性能・耐久性を高い次元で、バランス感を伴って仕上げる事を可能にしている。またブースでは窒素シールドプラスチック溶接機を用いた、割れた樹脂製バンパーを復元する様子も実演。これまでは諦めていたような、バンパーなどの多くの樹脂パーツを3Dプリンターの技術も合わせて復元する事が可能で、修理の選択肢を大きく広げてくれるソリューションとなっている。長きに渡ってメルセデス・ベンツをはじめとした輸入車を取り扱ってきたヤナセだからこその、「安心と信頼」。ただ直すのではなく、正しく懐の広い修理を行う事で、安心して楽しく運転することができるクルマを提供し続けている。

ヤナセクラシックカーセンター
URL: https://yanase-classic.com/


 

横浜ゴム

乗用車・トラック・農業機械など各種タイヤ・ホイールの製造を行うタイヤ・ゴムメーカー〝横浜ゴム〟。横浜ゴムの中でも、ヘリテージカー向けタイヤとして展開されているのが、〝YOKOHAMA TIRES for HISTORIC CAR〟。時代の流れと共に進化を続けた現代のタイヤは、ヘリテージカーを楽しむにはややオーバースペック気味となっている。横浜ゴムが提案するヘリテージカー向けタイヤは、当時の性能に準ずる形で設計され、外見に関してもトレッドパターンやロゴを緻密に再現。当時の雰囲気を蘇らせると共に、現在の技術でドライバビリティの面でも当時の躍動を取り戻すことが可能となっている。今回の展示は、横浜ゴムが展開しているヘリテージカー向け各ラインナップと共に、ヘリテージカー向けタイヤの代表的存在であるADVAN HF TypeD(225/45 R15)を装着した1973年式 ポルシェ 991レストモッド 73RSR Lookが展示された。

展示車両のポルシェ・911にも装着されているADVAN HF Type Dは、時代と共にマッチするタイヤが消えゆく現状を憂く多くのヘリテージカーオーナーから名指しで渇望され、36年ぶりに復活したクラシカルタイヤ。当時のレース活動の中で開発が行われた事からサーキットを父に、F2マシンを母に持ち、非対称・片側セミスリックパターンで衝撃的なデビューを飾った ADVAN HF Type Dは、当時としても画一的なパターンデザインを持つタイヤであった。このデザインを、当時の図面を基にして、忠実にプロファイルを再現。しかし、グリップレベルはオリジナルモデルと40年程の開きがあり、現代を走るヘリテージカーの足回りに負荷をかける事が無いように慎重に開発が行われ、オリジナルのType Dを彷彿とさせるグリップレベルに仕上がっているという。タイヤサイズに関しても、年々拡大が行われ2022年3月に新発売となった225/45 R15 93Wを加えて、総勢17サイズ展開となっている。その他にも、ポルシェ専用ハイパフォーマンスタイヤYOKOHAMA A-008Pや、クラシックパターン×ホワイトリボンが映えるサイドデザインが特徴的なRADIAL 360 STEELなどもラインナップ。ヘリテージカー文化を後世に受け継ぐべく、イベントの度に寄せられるユーザー・ショップの声を反映して商品に反映させ、ヘリテージカー文化を盛り立てていきたいという想いも語って頂いた。

横浜ゴム株式会社
URL: https://www.y-yokohama.com/


 

photograph: Ryousuke Doi
edit & interview: Chihiro Watanabe